松山英樹(29=LEXUS)のマスターズ制覇は、後に続くゴルファーたちに夢と希望を与えた。初挑戦から10年。なかなか勝てない中で、諦めずとてつもない努力を続けたことに頭が下がる。

畑岡奈紗(21=アビームコンサルティング)も、松山の優勝に勇気づけられた1人だろう。16年、17年と日本女子オープンでの連覇を果たし、18年から米ツアーに本格参戦。同年6月の全米女子オープンでは日本人初の10代でのトップ10入り(10位)を果たし、同月のアーカンソー選手権で初優勝。さらに全米女子プロ選手権で2位に入った。メジャー制覇は時間の問題と言われた。

しかし、19年3月に起亜クラシックで米ツアー3勝目を挙げた後は、なかなか勝てない状態が続いている。その間に同じ黄金世代の渋野日向子(22=サントリー)が、AIG全英女子オープンを日本人42年ぶりに制した。

松山と同じように、畑岡もものすごい努力を続けている。コースや練習場での練習に加え、ジムでの体力強化にも取り組んでいる。松山同様、米ツアー参戦当時に比べると、体の大きさや強さが格段に増した。アマ時代ナショナルチームで指導し、現在もサポートを続けているガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチは「畑岡さんと同じくらいフィットネスジムで努力できる人は、この地球上にいない」とその練習量の多さ、継続できる意志の強さに舌を巻く。

米ツアーを回っていても、大会の前や期間中の練習量が圧倒的に多い。ジョーンズ氏が「週の初めに練習しすぎて土日に疲れないように」と心配するほどだ。そんな頑固なところも、松山に似ている。

努力をすれば、誰もが結果を出せるわけではもちろんない。しかし、ポテンシャルがあって努力を続ける才能と、強い意志を持っていれば、大きな栄光をつかむことができると松山は教えてくれた。今年はここまで米ツアーで苦しい戦いが続いている。松山の次に、今度は畑岡がメジャー制覇の夢をかなえる日が必ずくる。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)