賞金ランキング争いが佳境に入っている。コロナ禍でスタートした長丁場の20-21年シーズン。男女ともに国内ツアーは残り6試合(10月20日時点)。ともに接戦となっており、最後の最後まで目が離せない展開となりそうだ。

男子は先週の日本オープンで3位に入った木下稜介が1183万円を上積みして首位に再浮上。通算金額も1億円の大台を突破した。木下は当初は11月4日からの米下部ツアー、コーンフェリーツアーの最終予選会への出場も検討。しかし、参戦すれば帰国後の自主隔離期間なども重なって国内終盤戦に出場できなくなることから断念。今季は初の賞金王獲得へ向けて集中することを決めた。現状では2位のC・キムとの差はわずか約600万円で、3位の星野陸也とも約900万円差。1勝すれば逆転もされる位置だけに、木下本人も「まだまだです。残り試合で1勝はしないと賞金王は無理と思っています」と状況を冷静にとらえていた。

男子は11月最初の試合となるマイナビABCチャンピオンシップ(11月4~7日)から高額賞金大会が続く。同大会の優勝賞金は3000万円。その翌週からの三井住友VISA太平洋マスターズ、ダンロップ・フェニックス、カシオ・ワールドオープンは3大会連続で優勝賞金4000万円となっている。現在の賞金ランキングでは10位の今平周吾が約6106万円としており、首位とは約4000万円差。このあたりの選手でも残り6試合で2勝以上を挙げれば、逆転で賞金王の座をつかむ可能性は十分にある。木下が国内残り試合のフル参戦を決めたように、ここからが正念場となってきそうだ。

一方で女子も目の離せない展開が続く。現在首位は今季最多8勝を挙げている稲見萌寧で、獲得賞金はただ1人、2億円超えの約2億1448万円となっている。2位の小祝さくらとは約4000万円差をつけているが、それ以下は混戦で小祝と約1000万円差の3位に西村優菜、さらに約1000万円差の4位に古江彩佳と勢いのある若手が続いている。

女子は残り6戦のうち、優勝賞金3000万円超えの大会が3つ。今週の延田グループ・マスターズGCレディース(10月21日~24日)が3600万円、その2週後のTOTOジャパンクラシック(11月4~7日)が3300万円、そして最終戦のツアー選手権リコー杯(11月25~28日)が3000万円となっている。稲見を追う選手たちにとっては、こうした大会で勝つことができるかどうか。男子同様に逆転での賞金女王に向けてはあと2勝がマストとなってきそうだ。

ちなみに女子のランキングで興味深いのは5位につける西郷真央だろう。今季未勝利ながら賞金は約1億2902万円を積み上げ、同4勝の申ジエ、今季の国内メジャーも制した同2勝の勝みなみらよりも上位となっている。西郷は今季出場44戦で2位5回、トップ10入りは16回を数える。比べると、申は出場28戦でトップ10入りは優勝4度を含む10回で、勝も41試合出場でトップ10入りは優勝2度含む10回。賞金ランキング14位までは西郷以外の全員が優勝経験者であることを見ても、その安定感は際立っているといえる。

西郷と首位稲見との差は約8500万円。ここまで何度も優勝争いを繰り広げながら涙をのんできただけに、終盤戦での初優勝、そして2勝、3勝と大爆発があれば逆転での賞金女王獲得も夢ではない…かもしれない。【松尾幸之介】

稲見萌寧
稲見萌寧