これから個人的に注目したい選手の1人が、沖縄県出身でルーキーの現役女子大生プロ、荒川怜郁(れいか、21=橋本総業ホールディングス)だ。現在、中部学院大スポーツ健康科学部3年生だが、昨年11月のプロテストに合格。同年12月のQT(予選会)は新人最上位の4位に入った。平均飛距離250ヤードのドライバーが武器。スケール感を感じさせる。

父淳さんによると、小学校に上がる前にトーナメント中継を見ていた時、「カップに入れたら○千万円賞金を獲得するんだよ」となにげなく教えたという。その言葉がきっかけで、荒川はゴルフに興味を持ち、プロを目指すようになった。淳さんは成績を気にさせないようにと「曲がってもいいから振れ」とアドバイスしてきたという。開幕戦では緊張の中でも父親の教えを忠実に守り、落ち着いてしっかり振り抜いていた。

中学ではテニス部に所属し、県大会にも出場した。高校ではゴルフ部がなく、陸上部だった。高校は進学校の沖縄県立コザ高に進学。文武両道を目指していた質問には、分かりやすく丁寧に答えていた。地頭の良さを感じる。

発言や行動に真面目さが伝わる。オフなどにダンロップトミー合宿に参加し、中嶋常幸から指導を受けた。中嶋からショートメールで「ファンの人を大切に回りなさい」と激励されたという。ギャラリーから声を掛けられると、その声の方向に必ずと言っていいほど、律義にお辞儀した。ルーキーイヤーの開幕戦。余裕もないはずだが、中嶋の教えを忠実に守っていた。

最終日にテレビインタビューに応じた後、涙が止まらなかった。その訳を聞かれると「(結果が)悔しいというのもあるんですけど、周りの人がたくさん応援してくれたので、感謝いっぱいで…」とまた涙を流した。

真面目な一方で、小祝さくらに負けないほのぼのトークにも癒やしを覚えた。趣味はYouTube鑑賞。魚を釣ってさばいている動画がお気に入りだという。料理好きだが「サバの切り身を3枚におろしたことがある」と真面目に語る天然キャラも良かった。

第1ラウンドは首位に3打差の2位だったが、最終日はスコアを落とし、31位だった。デビュー戦で決勝ラウンドに進み、賞金88万8000円を獲得。初めての賞金の使い道については「試供品が良かったので、香水を買いたい」と明かすなど、女子大生らしさもにじみ出ていて良かった。

実力、キャラクター、素直な性格など、見どころが多い。今後が楽しみな存在だ。【近藤由美子】

荒川怜郁(2023年3月2日撮影)
荒川怜郁(2023年3月2日撮影)