青木瀬令奈(30=リシャール・ミル)の勝利への飽くなき追求ぶりに驚いた。先週のRKB×三井松島レディースで「毎週違うパターを使っています。今年はもう10本に(笑い)。いろいろなタイプを試している」と明かした。

RKB×三井松島レディースではマレット型をチョイス。昨年のエースパターだった。「芝の種類からして、ヘッドがある程度重さがあった方がいいかなと」と説明。第2ラウンドでは約18メートルのロングパットからミドルパットまでズバズバ沈め、首位に並んだ。「タッチがよく合っていたので、よく入ってくれた」と手応えを口にした。

パターの決める基準は「あの辺のパターかなぁとか。だいたい直感で決めています。芝の種類をみて、あとは自分のアドレスのひじの角度やボールとの距離をみてライ角を調整したり」と説明した。

昨年より使用するパターの本数が増えた理由について「まず開幕戦で優勝したくて」と明かした。「琉球(GC)はなぜか抜けてしまうイメージがある。まずは琉球に向けて1月の沖縄合宿でパターを決めようとパターをいくつか持っていって。芝の種類や湿度によって、切れ方が変わってくることを教わったので、毎週芝に合わせてやろうかなと思ったら、大変なことになっています」と苦笑い。RKB×三井松島レディースで使用したパターが昨年優勝を飾ったパターか聞かれると、「もうどれがどれだか分からなくなっている」と話した。青木自身も分からなくなるほど、大会ごとにまったく違うパターを使っている。

今季初勝利を逆転で挙げたツアー第3戦のTポイント×ENEOSでは、2年ぶりにセンターシャフトのパターを使用。最終ラウンドでも2~8メートルのパットを沈めるなど、パットが勝利に貢献した。

すべては優勝するため。周囲も「侍のようだ」と驚くストイックな生活をしてきた。今季に入るまで美容院には行かず、自分で髪を切った。ネイルサロン通いもやめた。「何かを犠牲にして何かを得る方が、自分に合っている」。今年の目標の1つが複数回優勝。パットの名手として知られるが、目標のために手綱を緩めることはない。

RKB×三井松島レディースでは惜しくも1打差4位だった。「またチャンスは絶対に来ると思う。そこに向けて準備はしていきたい」と前向きに話した。毎週考えに考えてパターを決める。その姿勢だけ見ても目標を達成するのではとみている。【近藤由美子】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

RKB×三井松島レディース 最終日 1番、ティーショットを放ちカメラに手を振る青木瀬令奈(2023年5月14日撮影)
RKB×三井松島レディース 最終日 1番、ティーショットを放ちカメラに手を振る青木瀬令奈(2023年5月14日撮影)