プロ3年目の藤田光里(20=レオパレスリゾートグアム)が、待望のツアー初優勝を果たした。3位から出て4バーディー、1ボギーの69で通算7アンダー209。6人が首位に並んで迎えた18番で、グリーン奥エッジからの第3打をパターで沈めてバーディーを奪い、混戦を抜け出した。美人プロとして注目され、昨季は8月からスランプに陥ったが、見事に壁を乗り越えた。1打差の2位は一ノ瀬優希(26)、松森彩夏(20)、表純子(41)、イ・ボミ(26=韓国)、金ナリ(29=韓国)の5人だった。

 藤田光が名実ともにスター選手の仲間入りだ。入れれば優勝、外せば6人プレーオフが決定的な18番のバーディートライ。エッジから打ち出された球は下りのフックラインを描いて、5メートル先のカップに吸い込まれた。大歓声の中、「頭は真っ白」。笑みがはじけ、キャディーと抱き合った。だが、直後には「去年の苦しい時期を思い出した」と、涙があふれた。「人前では泣かない子」(母美香さん)だけに、喜びの大きさを物語っていた。

 ツアー1年目の昨季、中盤までは優勝争いを重ねたが、8月以降は不振を極めた。meijiカップ最終日の4番の第1打を右に曲げ、この一打で「クラブが振れなくなった」。グリップもアドレスも、スイングも迷い始め「頭がパンクしそうだった」。パターを握っても手が震え、試合に行くのが怖かった。3歳でクラブを握って以降最大のスランプは、シーズン終了まで続いた。「ゴルフを離れたいとも思った」。

 オフになると2週間はクラブも握らなかった。そのまま後援会のコンペに出たら、まっすぐな球が出た。「練習しなくても打てるんだ」。純粋にゴルフを楽しみ、気持ちが前向きになった。オフは自分を追い詰めず、自由に練習し、本来の姿を取り戻した。

 2位に終わった2週前のスタジオアリス女子など、5回目の最終日最終組でやっと勝った。これまでとの違いを「いい位置で、最後まであきらめなかった」と話す。「(15番の)3パットボギーもこらえた」。18番の第2打を打つ前は珍しく2度仕切り直し。子供の声が聞こえたためで、スポーツドリンクを飲んで呼吸を整え、集中力を研ぎ澄まして勝利を呼び込む一打を放った。イ・ボミ、香妻琴乃らと並んでトップ級の人気を誇る美人プロが、鮮やかに大輪を咲かせた。【岡田美奈】