首位に3打差4位から出た新垣比菜(16=沖縄・興南2年)が自己ベストタイの66で回り、通算9アンダー135で逆転の初優勝を飾った。女子ツアー史上初のアマチュアで3週連続トップ10入りし、高校生の中では抜きんでた実力の持ち主だった。

 新垣は狙って「高校日本一」のタイトルを奪った。「本当は自己ベストの65を出して、2桁アンダーで優勝したかった」。1打足らずに66だったが、2位に3打差をつける圧勝だった。ツアーでもまれ、女子高生の中では排気量が違った。

 第1日は69で首位に3差の4位発進。この日は、1番パー5で3メートルを入れるバーディー発進でアウト34。見せ場は11番510ヤードパー5だ。ドライバー、3番ウッドでグリーン右手前まで運んだ第3打。ロフト56度のサンドウエッジで20ヤード先のカップに鮮やかなチップインイーグルを決めた。「あれはうれしかった。いけるかもと思った」。そこから2つバーディーを重ねて優勝につなげた。

 新垣の強さを今大会を放送するテレビ東京の解説者・金谷多一郎プロが言う。「沖縄育ちのゴルファーは下が硬いところで育っている。芝もボールが沈むティフトンだから、いろんな打ち方を強いられる。だから(宮里)藍ちゃんも美香ちゃんもうまくて強い。新垣も同じですよ」。

 史上最年少でツアー優勝した勝みなみ(鹿児島2年)とは、同学年のライバルだ。「高校タイトルも取ったし、私も負けないで今度はツアー優勝目指します」。次のアマ優勝は新垣かもしれない。「ああ、やっと沖縄に帰れる」。7月12日に沖縄を出て、3週連続でツアートップ10入りして、今週がこの大会。今日9日に福岡から空路沖縄に帰る。「10日は友達と海に行くんです」。ニコッと笑った顔。その時ばかりは16歳、女子高生のそれだった。【町野直人】

 ◆新垣比菜(あらかき・ひな)1998年(平10)12月20日、沖縄県生まれ。ゴルフは8歳で父博昭さん(53)に勧められ始めた。得意クラブはドライバーで飛距離は250~260ヤード。目標のプロは、同郷の先輩の宮里藍、宮里美香。165センチ。B型。