ツアー2勝の前田陽子(伊藤園)が最高の31歳の誕生日を迎えた。

 今大会出場28選手中、賞金ランクは27位ながら、今季国内メジャー2戦2勝でV候補筆頭の米ツアー選手・田仁智(チョン・インジ、21=韓国)と2人で回り、4バーディー、1ボギーの69を出した。冷たい風が吹き、アンダーパーが3人だけ。風が強まる前の第1組スタートという幸運も生かし、4バーディー、1ボギーの3アンダー、69をマークした。

 「インジと回れるのは、昨日から『勉強になる』と思って楽しみでした」。スタート前には「トゥデー・バースデー」とアピールし、2ショットの記念撮影に成功。ドライバーの飛距離で約30ヤード置いて行かれる場面もあった。自分が5番ウッドを握った10番パー4(341ヤード)で、田がドライバーを持ち、グリーンエッジまで約50ヤード地点まで運ぶプレーには「さすが。すごいな」と仰天した。それでも、スコアで5打も勝った。

 連続試合出場の最多記録「482試合」を持つ“鉄人”今堀りつ(66)に3年前から師事。自分も今季は全37試合に皆勤した。コースに駆けつけた宮崎出身の師匠に「1年間やってきたことを出し切る4日間にしなさい」とゲキを受けた。

 ツアー通算3勝目を、国内メジャー初優勝で飾れば、最高のフィナーレになる。「最近は予選落ちが続いていたけど、ショットのことばかり考えすぎていました。正直、優勝なんて全然考えていません。ボミちゃん、テレサちゃんとか強い選手が集まっている大会で、自分の力がどれだけ出せるか。挑戦です」。残り3日、無欲で下克上に挑む。