7番から12番まで仰天の6連続バーディー。アマチュアの小祝(こいわい)さくら(18=北海道・飛鳥未来高3年)は「パットが入りすぎて、途中で怖くなりました」と笑った。

 7番で10メートル以上をねじ込むと、9番も10メートル。ハーフターンを挟んだ10番はグリーン左エッジから、56度のウエッジで12ヤードのチップインを決め、締めくくりは13番でまたも10メートル。08年ゴルフ5レディース第2ラウンドで金田久美子が記録したアマチュアのツアー連続最多記録に並んだ。

 地道に腕を磨いた。ゴルフは習い事気分で8歳から。「すごい運動音痴」と嘆く。他のスポーツは苦手で、中学時代の50メートル走のタイムは11秒6…。しかし、ゴルフだけは続けた。10年の北海道ジュニアに「まぐれで」(母ひとみさん)優勝して、やる気がわいた。「運動神経があまり関係ないスポーツ。大事なのは集中力と体力」と信じ、力をつけた。

 環境も恵まれたものではない。母ひとみさん、弟歩夢くんと3人家族。ひとみさんが札幌市内で飲食店を営み、女手一つで自分を育ててくれた。通信制の飛鳥未来高に進み、練習をさせてもらう札幌リージェントGCのキャディーマスター室でアルバイトをし、月に3万円を母に渡し、残りは貯金-。今どきのジュニアゴルファーには珍しいスタイルは、自分と家族の生活のためでもある。

 ツアー競技出場は、地元北海道開催のmeijiカップ3試合、ニトリレディース2試合と、昨年の日本女子オープンに続く7試合目だが、予選落ち4回と42位が2回。際立った成績は残していないが、勝みなみら強豪アマがひしめく“みなみ世代”の1人だ。

 勝とは小学生のころから友人で「みなみちゃんはツアーで優勝したり、すごいなという存在。もちろん励みになります」。来年のプロテストも受験予定でひとみさんと「プロテストまでに追いつけるよう頑張ろう」と話してきたが、今大会開幕2日前の練習ラウンドをともにして「ダメ、追いつけなかった。みなみちゃんには優勝めざして頑張ってほしい」とあきらめていたのだが…。

 2位に3打差をつける堂々の単独首位発進。残り2日、史上5人目のアマチュア優勝も夢ではないが「今日は65が出たけど、明日は出るはずがない。リズムを崩さず、アンダーパーを重ねたいです」。自分を見失わず、謙虚に話していた。