片岡大育(27=Kochi黒潮CC)が、賞金ランク1位の谷原秀人(37=国際スポーツ振興協会)、同3位の池田勇太(30=日清食品)という“格上”との最終日最終組対決を制した。

 ツアー初優勝を飾った昨年5月関西オープンから約1年5カ月。「2人は間違いなく僕より力が上ですけど、最終的に僕が自分の思うようなプレーができるかが問題と思っていた」。ドライバーの距離は負けても、安定感と精度ではひけをとらない。自分のストロングポイントを生かし、この日ただ1人のノーボギーで、6バーディーを奪取。この日のベストスコア66と完璧なプレーを見せた。

 10、15年賞金王の金庚泰にプレーオフ負けした5月の中日クラウンズ、第3日終盤のダブルボギーでブレンダン・ジョーンズに勝ちをさらわれ、6位に終わった2週前のANAオープン。敗戦から学んだものを生かそうと、この日は験も担いだ。

 中日クラウンズ最終日に金庚泰が紺色のシャツを着ていたことを思い出し、この日は同じ紺色のシャツを選んだ。「キョンテさんのプレースタイル、空気感が好き。僕も意識しているわけではないけど、似た感じのプレースタイルだと思うし、ツアーの中で多分1番チェックしている選手なんで」。スイングだけでなく、歩き方も振る舞いもゆうたりしたリズム。バタバタしないプレー。紺色のシャツでそれを貫いた。

 相棒のためにも勝ちたかった。昨季から専属キャディーを務めるのが、伊能恵子さん(47)。江戸時代に初めて日本地図を作った伊能忠敬の子孫で、身長で9センチ高い、20歳年上の“姉さん”は初優勝した関西オープンだけ所用で休んでいた。「気にしているのはわかっていました。いつもプレーに入る過ぎる僕を、明るくリラックスさせてくれる」とコンビ初Vの喜びも分かち合った。

 海外志向が強い。特に欧州ツアーへの憧れがあり、昨季は同ツアーの最終予選にも挑戦した。今季はすでにエントリーが終了しているが、米下部ツアー最終予選は今月26日までエントリーできる。「米国も興味はあります。ただ、米下部ツアーだけでシーズンは送りたくないし、日本ツアーでも戦いたい。少し時間をかけて(エントリーするかどうか)考えます」。ツアー2勝目を手にして広がった選択肢を、吟味するつもりだ。