今季日本ツアー2戦目の松山英樹(24=LEXUS)が、世界ランク7位の力を見せつけた。1イーグル、6バーディー、1ボギーの65をマーク。7アンダーで日米通じて自身初の単独首位発進を決めた。パット向上のため東北福祉大の後輩プロからヒントを求める貪欲な姿勢で進化を止めない怪物。11年にアマチュアとして初優勝を飾った舞台で、2週前のHSBCチャンピオンズ(中国)に続く連勝を狙う。

 スタートの10番、松山は第2打をピンそば20センチにつけ、いきなりバーディーを奪った。「寒いから飛ぶのか飛ばないのか分からないまま打ったら、たまたまついた感じ」。18番パー5では逆風の中、残り226ヤードから4番アイアンで2オンに成功。3・5メートルを沈めイーグルを決めた。それでも「結果としたら最高の結果。納得のいくショットではなかった」と振り返った。

 中国での世界選手権シリーズ日本人初制覇を支えたグリーン上の勝負強さが、随所に垣間見えた。「(高速グリーンの)スピードにまだ慣れていない」とこぼした一方、3メートルほどのパットをカップインさせた16、18番を挙げ「いい距離が入ってくれた」。大会前には「まず自分のストロークが崩れないことを目指してやっていきたい。良くない時もありますけど、徐々に改善されているのかな」と手応えをにじませていた。

 秘密の一端が練習風景にある。パッティンググリーンでは、さながら“臨時コーチ”のように近くで見守るプロゴルファー佐藤大平(23)と意見を交わし合う。松山がパットの感覚に一目置いているという大学の2年後輩。日本オープン、今大会と試合には出ていないが、会場でサポートしてもらっている。強くなるために年下の助言にも耳を傾ける。勝つことにひたすら貪欲なスタンスは世界7位となっても全くぶれない。

 1打差の2位宮本が「(HSBCチャンピオンズで世界2位)マキロイも(同4位)ステンソンも勝てなくて、日本人が勝てるわけないですよ」と冗談めかすほど、圧倒的な雰囲気が漂う。違いを見せつけた1日を「昨日よりは良くなってますけど、特別いいとは思えない。その中で、よくスコアが伸ばすことができたなと思う」と総括した松山は、底が知れない。【亀山泰宏】

 ◆松山の首位発進 日本ツアーでは、4勝を挙げて賞金王となった13年の日本プロ、ツアー選手権宍戸、フジサンケイ・クラシックの2位スタートが最高。米ツアーでは15年プレーヤーズ選手権など4度あり、今年2月のフェニックス・オープンでは第2日4位、第3日2位から最終日にプレーオフへ持ち込んで逆転優勝。単独首位発進は日米通じて初めてだった。