2打差から出た松山英樹(24=LEXUS)は、日本人最多となる米4勝目に惜しくも届かなかった。1イーグル、4バーディー、3ボギーの70で回り、通算19アンダーの273でジャスティン・トーマス(23=米国)に及ばず2位。一時は1打差まで迫ったが、後半の勝負どころでパットが外れ、米ツアーでは14ラウンドぶりの70台となった。好勝負をみせた期待の若手2人は、次戦ソニー・オープン(12日開幕、ハワイ)でも競演する。

 勝てなかった悔しさは募るが、松山は少しだけ晴れやかだった。「いい部分もありましたし、そんなに落ち込んでないです」。

 今季米ツアーポイントランクで1位の松山と2位のJ・トーマス。昨年10月の開幕から最も調子がいい2人の争いらしく、勝負は白熱した。一時5打差まで後退した松山は短いパー4の14番で果敢に1オンを狙い、第2打はラフから残り20ヤード。ふわりと浮かせたボールはピンの手前に落ち、カップに吸い込まれた。前日14番のチップインバーディーに続いて米ツアー公式サイトで「ショット・オブ・ザ・デー」に選ばれたチップインイーグルで同じ最終組の相手に重圧をかけた。

 悔やんだのは15番。第2打をミスしたJ・トーマスがボギー以下確実となった状況で、3メートルのバーディーパットを決められなかった。結果としてはここで1打差に迫ったが「15番で追いつけるところで追いつけなかった。そこで余裕を持たせてしまったのが、17番のいいショットを打たれることにつながった」。17番で第2打をピンそば1メートルにつけられ、松山は3パットボギー。好調に映ったパットで第1日から抱えていたという、本人にしか分からない違和感。勝敗は決した。

 個人戦直近6戦4勝。2位の2試合はいずれもJ・トーマスが制した。前日には松山も「彼にはウイークポイントがない。飛距離もあるし、ショートゲームも素晴らしい」と絶賛。米ツアー全体を見渡しても松山を含め4人しかいない「90年代生まれの複数回優勝」達成者の1人でもあるだけに2位となってなお強さを示した形だ。今季世界を席巻しそうな2人は、今週のハワイで再び相まみえる。

 ◆米ツアーの若手有望株 90年代に生まれ、複数回優勝を達成しているのは、スピース(米国、8勝)リード(米国、5勝)松山(3勝)J・トーマス(3勝)の4人しかいない。この「90年代カルテット」で実績は15年メジャー2勝のスピースがNO・1だが、リード、松山も、メジャー制覇に近い存在として名前を挙げられる。J・トーマスは09年ウィンダム選手権の予選を16歳で通過し、史上3番目の年少記録を樹立。