「最後の9番は日曜日(最終日)にしか見たことのない景色を、木曜日に見ました。今、私が一番邪魔をするんじゃないか、試合を妨げるのではないか、と思うのは感情的になること。そこは抑えています。頑張りたい気持ちが切れてしまうから。だからウルッと(涙が)くることは1ミリもなかった。バーディーを取ることしか考えていなかった。そこは淡泊に見えてしまうかも知れないですね」

 気丈にそう語る。だが上田がホールアウト後に、こらえていたはずの涙を流したことを伝え聞くと、心がほんの少しだけ乱れた。

 「結果次第では、桃子と一緒に回るのは明日が最後になってしまうかも知れない。今は全力で自分をコントロールしているけれど、明日は自信がないです」

 首位と5打差。小さな体で世界ランク1位をつかんだ実力者にとって優勝は射程圏だ。「(引退までの)リミットがあるので、これからは今までとは違う未知の世界になる」。残り3日。“未知の宮里藍”を日本中に見せる。【益子浩一】

 ◆平日では今季最多 6735人は今季ツアー15戦の第1日入場者数で2番目。だが、1万3097人のサロンパス杯は祝日(5月4日)で、平日では最多だ。上位3試合はいずれも宮里が出場している。