今季メジャー第2戦が開幕し、世界ランク4位の松山英樹(25=LEXUS)が15番パー4の第2打を直接沈めるスーパーイーグルを奪った。今大会は気心の知れた東北福祉大の先輩谷原秀人(38)という心強い味方がいる。開幕前日も一緒に練習ラウンドを行い、笑顔あふれる最終調整。日本男子初のメジャー制覇への挑戦という“使命”を背負う中、緊張を和らげてもらった。

 悲願のメジャー制覇を狙う松山がイーグルを奪った。10番からのスタートで、見せ場は357ヤードの15番パー4だ。グリーン上でバックスピンがかかった第2打が磁石に吸い込まれるようにしてカップに入った。両腕を広げて喜びを爆発させる。スーパープレーに観衆も沸いた。その前の14番パー5でもグリーン横のブッシュから反対側のバンカーに落とす窮地。だが、バンカーショットをピン横にピタリ付け、ボギーでしのいだ。まさに好発進だった。

 連日、信頼を置く谷原と練習をともにしてきた。その“兄貴分”が冗談交じりに言う。「皆さん見ました? あの笑顔。(松山)英樹は楽でしょう。先輩は気を使って頑張っているんです。大ちゃん(松山専属の進藤大典キャディー)も言ってました。『バッグが軽い。ハーフが早いっす』って」。リラックスして臨んだ結果が、第1日からのイーグルにつながった。

 アマ時代を含め、メジャー19戦目。第一人者としてメジャー制覇の望みを託されている。常に日本の報道陣が大挙するが、漂う緊張感を先輩がさりげない気遣いで緩和してくれる。ミスショットをすれば、すかさず谷原がちゃちゃを入れ、膨らみそうになった怒りが笑いに変わる。開幕前日は、谷原と今大会で谷原のバッグを担ぐツアー2勝の谷口拓也に、スイング動画を見せて助言を求めた。

 特定のコーチを付けない松山にとって、信頼できる存在がいるのは大きい。7月の全英オープン前に初参戦する欧州ツアーのアイルランド・オープンも、谷原が出場することが理由の1つ。「クラブを投げないように気を付けます」と笑わせたが、大会直前はそんな場面は見られなかった。

 16番は惜しくもパーに終わったがバーディーパットがカップをかすめた。世界の頂を目指す戦いで世界ランク4位の実力を見せた。【亀山泰宏】