世界ランク4位の松山英樹(25=LEXUS)は7バーディー、ノーボギーでメジャー自己ベストとなる65をマークし、通算5アンダーで首位と2打差の8位に急浮上した。前日、宮里優作の父優さんから助言をもらったパットがさえ渡り、19度目となるメジャーで最もトップに近い位置で残り2日間を迎える。ポール・ケーシー(39=英国)ら4人が通算7アンダーで首位に並んだ。

 9打差82位と出遅れ「最悪です」と切り捨てた18ホールから一夜明け、松山がよみがえった。「最高です」。圧巻は前半の「30」。最も難しい4番は3メートルのラインを進藤キャディーと2人で丁寧に読んで沈め、6番からは3連続バーディー。後半も唯一フェアウエーを外した12番で4メートルをねじ込んでパーを拾うなど、勢いを殺すことなく終えた。

 「すごく良かった」というパットの「スコアに対する貢献度」はプラス3・30で全体6位。104位のマイナス1・064だった前日から4打分以上良くなった。「嫌なシチュエーションでも、セカンドで(無理に)ピンを狙わなくていいという考えになりますし、10メートル以内をチャンスと思えることもある。そういう部分でパットって大事」。グリーン上の安心感が持ち味のショットに波及した。

 宮里優作に同行する父優さんの指導を受けていた。開き気味だった左手を調整し、それに合わせて右手の握りも「スクエアにした」(優さん)。松山は言葉を選びながら感謝を口にする。「いろんな人に教えてもらった。自分がどうなってるかを言ってくれる人はすごく大事。全てを受け入れるわけじゃなく、自分の中で試行錯誤しながらやったのが、今日は良かった」。

 前日は3時間近く練習。この日は引っ張りだこだった日米メディアのインタビューを終えると午後7時30分を回っていたが、練習場へ足を向けた。試合期間中も膨大な練習量を維持できるのは、普段から厳しいトレーニングを積んでいればこそ。数年前に中嶋常幸主宰のジュニア合宿にゲスト参加した時のこと。選び抜かれた大学生、高校生は誰も松山のメニューについていけず、吐いてしまう選手もいたほどだったという。

 「いいプレーができたらこうやって回れると口では言っても、実際に回れなかったら『口だけかよ』と言われる。1回でも回れて良かった」。1回で終わらない風格が漂っている。【亀山泰宏】