鈴木愛(23=セールスフォース)が、通算5勝目を挙げた。2位の三ケ島かな(20)と1打差で迎えた最終18番、外せばプレーオフ突入という約6メートルのバーディーパットを沈め4バーディー、1ボギーの69。通算18アンダー270で今季2勝目を飾った。獲得賞金も8000万円を超え、賞金ランキング1位キム・ハヌル(28=韓国)に約90万円差まで迫る2位に浮上した。

 最終18番、鈴木がこん身のバーディーパットをねじ込んだ。先に約8メートルのバーディーパットを沈め、スコアで並ばれた三ケ島も見守る緊張感あるグリーン上。「プレーオフ覚悟でカップをオーバーしたいと思って打った」と約6メートルのスライスラインを読み切った。カップインを見届け、右拳を高々と突き上げた。

 「最後は緊張して心臓が飛び出るかと思いましたが、今は収まりました」。ジョークで振り返ったが、17番で1メートルのパットを2度外してボギーをたたいたのが原因。「パットが得意で1メートルを往復で外すこともないので自作自演ですね。まだまだ練習が足りない」。自ら招いたピンチを乗り越えても反省も忘れなかった。

 オフはプロ野球・千葉ロッテの選手と合同自主トレに臨み、ショット練習も早めに開始した。スロースタートの例年とは違い、早めに好調の波をつかんで今季2勝目を挙げた。優勝賞金が高額の3240万円にアップした今大会を制し、獲得賞金も8000万円を超え、1位に約90万円差まで肉薄。「おいしいご飯を食べたい。食べ放題ぐらいはいきたい」と笑わせた。

 13年の森田理香子以来、4年ぶりの日本人賞金女王も狙える位置につけた鈴木は、先に「世界」を意識する。全米女子、全英女子の両オープンに出場予定で「どれだけ通用するか。海外選手をみて勉強して日本に持ち帰り、後半に1、2勝できれば」。11歳の時、04年サントリー・レディースに勝った宮里藍にあこがれて競技を開始。14年は20歳128日で国内メジャー日本女子プロを制し、宮里藍が06年に打ち立てた大会最年少V記録(21歳83日)を更新した。その藍ちゃんが引退表明した今季、新たな「AI」が世界に挑戦する。【藤中栄二】