【サウスポート(英国)19日=亀山泰宏】男子ゴルフの世界ランク2位、松山英樹(25=LEXUS)が日本男子初のメジャー制覇へロケットスタートを決める。全英オープン(ロイヤルバークデールGC)に向け、アウト9ホールを回って最終調整。合計2・5ラウンドを消化し、今日20日の開幕に備えた。過去19度のメジャーでは、ラウンド(R)別の平均スコアが最も悪いのが第1R。“鬼門”を乗り切って出遅れを防げれば、悲願達成の瞬間はおのずと近づいてくる。

 世界中から熱い視線が注がれる松山の全英オープンが、いよいよ始まる。直近のメジャー全米オープンで2位、世界ランクも2位。18日の練習ラウンドでは、今月の欧州アマを制したプラント(英国)が「ヒデキと一緒に回りたい」と志願してきた。周囲の変化は気に留めない。「僕じゃないので。期待をかけているのは」。優勝の自信を問われると「ゼロでもないし、100でもないって感じです」と冷静に切り返した。

 データを読み解くと、1つの傾向が見えてくる。メジャーのR別平均スコアは第1R71・84がワースト。同ベストの最終R70・31とは1打以上の開きがある。一方で19大会の優勝者は、例外なく好スタートを切っている。第1R終了時にトップ10にいなかったのは3人。その3人も5打差20位以内という“優勝圏内”にはつけていた。若干のスロースターターぶりをのぞかせながら、メジャーで優勝争いに絡んできた松山。並外れた底力、修正能力の高さの裏返しともいえるだけに、第1Rを好位置で通過できれば、頂点に立つ可能性は大きく膨らんでくる。

 2週前に欧州ツアーのアイルランド・オープンに出場し、そのまま英国に残って準備を進めてきた。全英直前にリンクスで実戦をこなすのは、例年には見られなかった調整。「1回や2回で大した差はないですよ」と話すが、長期滞在で時差や気候への順応は確実に進んでいる。「(全英は)僕、1回しかトップ10に入ってないですよ。最初の時(13年)以外ダメなんで、ちょっとは頑張りたいですね」。頑張った先に目指すのは、もはやトップ10ではない。