宮本勝昌(44=ハートンホテル)が通算22アンダー266で、14年日本シリーズJT杯以来のツアー通算11勝目を挙げた。1打差3位から出て9バーディー、ノーボギーの63、大会コース記録に並ぶ猛チャージだった。4月パナソニック・オープンでプレーオフ負けした後、腰のヘルニアというプロ生活最大のピンチに見舞われながら、それを乗り越えての勝利となった。1打差2位はI・H・ホ(30=韓国)。

 宮本がバーディー合戦の混戦を制した。18番パー5は「ティーショット100点、セカンド100点。この緊張感の中2つもナイスショットを続けられた」と自画自賛のプレーだった。残り257ヤードのイメージを3番ウッドでピンそば3メートルに2オン。この日9個目のバーディーを奪い、プロ22年目の底力を見せた。

 第2日には3打差3位に「一線は越えておりません」と“時事ジョーク”で笑いを誘ったが、優勝会見では少ししんみりと「もう優勝できないかも」という思いがあったと明かした。来月には45歳だ。14年12月に区切りの10勝目を挙げ「11勝目、12勝目と思っていたけど、だんだんそれも薄れていた」とも。だが、4月パナソニック・オープンで1学年上の久保谷にプレーオフ負け。「もう1度と火が付いた。このまま終わるのは悔しい」。

 同時に皮肉にも腰のヘルニアが悪化。「痛みでフィニッシュがとれないほど」とトレーナーの太田敦さん(40)。はり治療や痛み止めの注射など試行錯誤が始まった。一方で宮本は06~11年に151試合連続出場の記録をつくり、その後も出場権のある試合は皆勤という“鉄人”だ。痛みを抱えながらも、それを表に出さずに試合に出続けた。

 やっと3週間効果が続く注射と巡り合い、今大会に合わせて2週間前に腰の3カ所に打った。さらに飲み薬は毎日服用。そんな中、前日には最後まで練習してショットを修正し、この日の快進撃につなげた。次の目標を尋ねられると「人生最後の優勝をもう1回したい」と笑顔で答えた。まだまだ勝利を積み重ねたいという意味である。【岡田美奈】