今大会を最後に引退する宮里藍(32=サントリー)が、途中までプレーした競技が悪天候のため無効になるという異例の事態に見舞われた。インスタートの宮里は6ホールを終え3オーバーと出遅れ、16番途中で競技を中断。再開できず、全選手の記録が取り消しとなった。大会は3日間54ホールに短縮され、15、16日に予選、17日に決勝が行われる。宮里最後のメジャーは「大荒れ」の幕開けとなった。

 現役最後の大会は、予想もしない幕開けになった。暴風雨による競技中断から待たされること4時間半。スタート時点で20度近くあった気温が7度まで下がり、宮里は着替えのため一時ホテルに戻っていた。主催者側はこの日の無効を決断し、3日間競技への変更を発表。クラブハウスに戻ってきた宮里は、さすがに驚きを隠せなかった。

 「すごいビックリです。こういう決断は、メジャーではあまりない。私は(中断時点の)続きからでも構わなかったけれど、半分以上の組が明日から(残りホール)だと不平等になる可能性も出てくる。決められた中でやるしかない」

 プレーも大荒れの展開だった。インから出て12番パー4でバンカーにつかまり、第3打もグリーンに届かずダブルボギー。13番もラフから打って木に直撃しボギー。朝からの強風の影響もあり、6ホールを終え1バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの3オーバー。16番パー3でバンカーからピン50センチにつけた直後に嵐のような暴風雨。最大瞬間風速19メートルで立っていることもできず、近くの小屋に逃げ込んだ。

 「身の危険を感じるほどでした。危なかったですね。自分たちの判断で、という感じで(中断ホーンが鳴る前に)テントに入った」

 記録は無効になったが、記憶に残るラストマッチになった。中断時点で暫定48位。満足いくスコアではなかったため、これも“追い風”になる。13年の同大会も悪天候で3日間に短縮され、宮里藍は15位だった。

 「結局は自分のやるべきことをコツコツやるだけ。今日はティーショットが左右に曲がる場面があったので、それを修正して明日からまた頑張りたい」

 現役生活は残り3日。有終の美へ、悪天候も味方にする。【益子浩一】