【アトランタ(米ジョージア州)19日(日本時間20日)=亀山泰宏】男子ゴルフの世界ランク3位、松山英樹(25=LEXUS)が21日開幕のプレーオフ最終戦、ツアー選手権(イーストレークGC)で1000万ドル(約11億円)の超ビッグボーナスに挑戦する。ポイントランク1位で迎えたプレーオフ3試合で上位に食い込めず、7位に後退。ショットの立て直しへ「人前では久しぶり」という基本的な練習も行い、優勝が必須となる総合王者へ最後の戦いに臨む。

 「11億円のためにゴルフをしているわけじゃない」と繰り返す松山は、ただ目の前の試合に勝ちたい一心でなりふり構わぬ調整を続けた。

 開催コースでの練習を開始したこの日、ドライビングレンジで基本的なところに立ち返った。足元にはアドレスの向きを正しく整えるために2本の棒を並べ、正対した進藤大典キャディー(37)に頭が動かないよう棒を当ててもらう。「人前では久しぶりじゃないですか。練習方法の1つとしてあるんですけど、なかなかやらないです」と話す手法でショット時の動作確認を繰り返した。

 47位だったプレーオフ第3戦のBMW選手権後に「何をしたらいいのか分からなくなってしまった」と話していた。その前週の試合で昨年10月から使うドライバーのフェースが割れてしまった。スペアを用いて同じスペックにしても、かすかな違和感が生じることもある繊細な世界。シャフトの試行錯誤も継続している。アウト9ホールを回った練習ラウンドも右へのミスが増え、打ち直しを重ねた。「良くなってると思います」と言った後で沈黙を挟み「強がりです」と苦笑い。「何かいいものが見つかればなって感じです。ちょっと苦労してますけど…」と続けた。

 完璧主義者ゆえに試合直前も始まってからも技術面の不満を抱えることは少なくない。その中で立て直し、抜きんでた結果を残してきたからこそ、勝てば1000万ドルに手が届く位置にいられる。「別に何も考えてないです。ベストなプレーができれば、そのチャンスはありますし、そうでなければ最下位で終わるだけです」。腹をくくって勝負の72ホールを見据えた。