松山英樹(25=LEXUS)が米本格参戦4年目の戦いを終えた。5バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算6オーバーの286で26位。世界選手権シリーズ2勝を含む3勝、獲得賞金838万570ドル(約9億2200万円)、ポイントランク8位などキャリアベストのシーズンだった。それでも「波がすごく大きい」と貪欲に成長を誓った。

 結果を残した分だけ、松山が自らに課すハードルも上がった年だった。「いい時と悪い時の波がすごく大きい。調子を落としている時間が長い」。世界各地で4勝した昨年末や最終日に「61」を出して優勝した8月のブリヂストン招待は“いい時”だった。「自分の中でその時のようなプレーを目指してしまう。(いつも)そのレベルになれたら常に優勝争いができると思いますし、メジャーでも勝てるんじゃないかなって感じはある」と言った。

 総合優勝に最も近い位置でレギュラーシーズンを終えたが、8月下旬からのプレーオフ4戦は“悪い時”だった。最終戦のツアー選手権は特にティーショットとパットの悩みが尽きず、練習場に姿を現す時間が徐々に早くなった。第3ラウンドの前には、かつてウッズを指導し、現在はファウラーのコーチを務めるブッチ・ハーモン氏が歩み寄ってきた。時間にして10分ほど意見を交わした。

 3月、メジャー第1戦のマスターズまで1カ月を切った頃も悩んでいた。「誰かに助言を求めてみるのは?」。そんな問い掛けに「見てもらって良くなるんだったら(助言を)求めてますよ」と漏らした。その時も、プロコーチのピート・コーウェン氏、元世界ランク1位デー(オーストラリア)のキャディーを務めたコリン・スワットン氏が助言をくれた。

 松山のマネジャー、ロバート・ターナー氏は言う。「ヒデキがナイスガイだから、みんな親切にしてくれる」。真摯(しんし)にゴルフと向き合う姿勢を誰もが認め、傾ける情熱が伝染していく。それは進藤大典キャディーや飯田光輝トレーナーらチームの面々も同じ。今季明らかに平均飛距離は伸びたが、本人は簡単に首を縦に振らない。全米オープンで2位となった時、飯田トレーナーは「彼が納得して、初めて飛んでると思わないと。彼自身が『飛んでます』と言ってくれるまで頑張ろうかなと思います」と話した。お互いがプライドを持って戦いに臨んでいる。

 28日からは世界選抜のエースとして米国選抜に挑むプレジデンツ・カップが始まる。「(調子は)上がることはあっても、下がることはないと思ってやっている」。松山は上だけを見て戦い続ける。【亀山泰宏】