今季の国内初戦となった石川遼(26=CASIO)が、2オーバーの61位と苦しいスタートを切った。ティーショットが定まらず、8番でOBを出すなど2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの72。米ツアー出場権を失い、復活を目指すが「悪い例を見せてしまった」と反省した。

 石川にとって、もやもやの残る船出だ。米ツアー出場権を失い、失意の中で迎えた今季の国内初戦。大会初日としては今季最多4383人のギャラリーが集まり、その大勢が石川組についた。1番でバーディーを奪い歓声を浴びる。そこから勢いに乗る思惑は崩れた。8番パー4でティーショットが右に曲がり、まさかのOB。ダブルボギーをたたくと、後半も1つスコアを落とした。予選突破が微妙な61位発進。苦しんだこの1年を象徴するような1日になった。

 「こんなに集まってくれるなんて信じられない。本当にうれしかった。アメリカだといいショットを打っても2~3人が拍手をしてくれるだけ。でもアメリカでうまくいかなかった理由が(観衆に)伝わったと思う。これが今の自分の状態。ここからどう立て直していくかだと思います」

 同組になった2歳年上の小平とは、毎年のように正月にラウンドする仲だ。その小平が首位に立ち、石川は最後までショットの乱れを修正できなかった。笑顔は消え、2人の会話も徐々に減っていった。

 「アイアンもコントロールできなくて、なかなかうまくいかなかった。(小平の)いい例と、悪い例を1つの組で見られたと思う。自分が悪い例の方だった」

 復活する姿を見せたい-。そんな願いは空回りした。前日11日には「生きるか死ぬかという一打を放つ」と悲壮感を漂わせたが、そう思えば思うほど、力が入った。「1番のショットは無心で打てた。最初はできただけに悔しい」。予選さえ突破すれば、まだ上位に食い込む可能性はある。どん底からはい上がる姿を、必ず見せる。【益子浩一】