男子ゴルフで初の賞金王に輝いた宮里優作(37)は、学生時代からその名をとどろかせていた。東北福祉大の同期で松山英樹の専属キャディーを務める進藤大典氏(37)、石川遼の専属キャディーである佐藤賢和氏(37)、ツアー通算2勝の岩田寛(36)が快挙を祝い、大学時代の“伝説”を振り返った。

 80年生まれは、清田太一郎や池田力といった将来を嘱望されたアマチュアがそろう「黄金世代」(佐藤氏)だった。その中でも宮里優は別格だった、と佐藤氏は言う。「4人1組で回ると、他の3人で立ち向かっても勝てない雰囲気があった」。3番ウッドでピン筋に真っすぐ飛ばす弾道を見せつけられた時の衝撃を「こんなヤツがこの世にいるんだと思いましたよ」と苦笑交じりに振り返る。その後、佐藤氏がキャディーの道を選んだのは宮里優の勧めがあったからでもある。

 当時から海外を見据えて硬いグリーンに対応するため、高い弾道を意識していた。岩田が「(出会った時は)驚きしかない。“マンうま”です。すぐ活躍してアメリカに行くものだと思ってました」と話すように技量は図抜けていた。進藤氏は忘れられない思い出がある。プロの試合会場で日本学生を3連覇した宮里優に伊沢利光が声をかけた。「トッププロが学生の試合に出てちゃダメだろ~」。ジョークとはいえ、当時賞金王に輝くなど日本トップに君臨する選手が、同じ土俵で戦う存在として認識していた。練習を見て「今週は優作ちゃんの優勝だな」とつぶやいこともあった。

 誰よりもすごさを知る3人だけに、感慨もひとしお。佐藤氏は「ただの賞金王じゃない。選手会長をやりながらですから」。岩田も「家族に(賞金王になる姿を)見せたい、みたいなことをちらっと聞いていた。良かった」と祝福した。37歳での初戴冠はツアー史上3番目の年長記録。進藤氏は「優作にふさわしいタイトルですよね。この年で初の賞金王になるなんて、同期としてこんなにうれしいことはない。刺激をもらえるし、来年はメジャーにもたくさん出られるはず。楽しみですね」と喜んだ。

 さらに進藤氏は「宮里家の強い絆というか、パワーを感じずにはいられないですね」。妹藍さんが引退したシーズンで兄が賞金王という巡り合わせに感嘆せずにはいられなかった。【亀山泰宏】