成田美寿々(25=オンワードホールディングス)が、尊敬する宮里藍さん(32)の名前が冠された最初の大会で今季初優勝、ツアー通算9勝目を飾った。首位と4打差10位から出て、ノーボギーの66。通算16アンダーで並んだ有村智恵(30=日本HP)とのプレーオフに臨み、4ホール目のバーディーで勝負を決めた。「私にとって神」と公言する大会アンバサダーの宮里さんに祝福され、今季の目標「シーズン5勝」へ第1歩を踏み出した。

 表彰式で待望の瞬間が訪れた。宮里さんにハグされた成田は夢見心地だった。

 「藍さんの冠大会。優勝争いで絶対に盛り上げたいと思っていました。でも、目標が優勝というより『優勝したら、表彰式で藍さんに声をかけてもらえる』で…。むしろ、気持ちはそっちでしたから」

 4打差逆転優勝で盛り上げた。そのチャージも宮里さんがスイッチ。13番ティーグラウンド脇にある中継局ブースで姿を発見。「行ってきます!」とあいさつすると、同ホールでバーディー。15番からは3連続バーディー。終盤6ホールで4つスコアを伸ばし、プレーオフに持ち込んだ。

 プレーオフは有村と4ホールを戦い、バーディーで決着をつけた。ウソのような裏話がある。5月上旬の試合でテレビ解説に来ていた宮里さんにお願いし、5月31日に都内で夕食を共にした。テレビ局関係者を含め全4人。もう1人が有村だった。「私1人じゃ藍さんとまともに話せないんで、有村さんにお願いしたんです」。その有村とのプレーオフ対決になり「怖いですね」と不思議そうだ。

 11歳の時、宮里さんのミヤギテレビ杯のアマチュア優勝をテレビで見て、プロゴルファーになると決めた。生粋の“藍チルドレン”は、宮里さんが飛び回った世界に目を向ける。今季からシーズン中も週に1度、トレーニング。「レキシー・トンプソンとか、普通にそうしているのに、体力負けしている日本人がやらなくて、どうするんだと」。夢の20年東京オリンピック金メダルへ、最高の弾みになるはずだ。【加藤裕一】