先月プロテストに合格したばかりの大里桃子(20=フリー)がツアー初勝利を挙げた。通算10アンダーから出ると3バーディー、3ボギーの73で回り、通算10アンダー209で初優勝。テスト合格から23日のツアー初Vは最短記録となった。勝みなみ、新垣比菜と同学年で“黄金世代”と呼ばれる年代から新たなヒロインが誕生した。

 プロテスト合格から3大会目の大里が、重圧をはねのけた。同組で回る森田と1打差で迎えた最終18番。「安全にいこうかと思いましたが、それだと格好悪いな」。残り105ヤードからピッチングウエッジで放った3打目を約20センチまで寄せた。「すごく達成感でいっぱいだった」というVパット。バーディー締めのツアー初勝利だった。合格から23日の初優勝は最短記録。「実感がないです」。周囲の祝福で高揚感に包まれた。

 4月に初優勝した同学年の新垣比菜が過少申告で失格になった。失格前は2位で、一緒に最終組で回るはずだった。大里も心を痛めたが「今朝、比菜ちゃんのお母さんに『頑張って』と応援され、勇気をもらった」。ギャラリーからも「比菜の分まで頑張れ」と激励され、力がわいた。14番ではキャディーの父充さん(52)に相談せず、自らのライン読みで3・5メートルのパーパットを沈める精神的なタフさで優勝を引き寄せた。

 勝、新垣らが次々と活躍し“黄金世代”で目立たない存在だった。小学校時代、勝と同じ大会に出場すると「1日で10打差とか離された」。勝が高校1年でKKT杯バンテリン・レディースで最年少Vした時にも会場にいた。昨年はプロテストも1打届かずに不合格。「すごい悔しかったけれどプロになって追いつけば良いかと」。2年前の熊本地震時には同市内に在住して被災し「まだ避難生活を送られている方々とかに少しでも良いニュースになったのかな」。大里が同学年に負けない、輝きとオーラを放った。【藤中栄二】

<大里桃子(おおさと・ももこ)アラカルト>

 ◆生まれ、サイズ他 1998年(平10)8月10日、熊本・南関町生まれ。170センチ、60キロ。血液型A。

 ◆ゴルフ歴 8歳から父の勧めで競技開始し、熊本国府高ゴルフ部。今季前半戦は単年登録しQT16位で出場。リランキング24位。好きな選手は鬼沢信子。

 ◆スポーツ歴 水泳、バスケット、陸上を経験。父と母美弥さん(50)はともに元陸上選手で元体育教師。競技は違うが、母は松野明美と同学年で大会出場。

 ◆祖母好き 祖母節子さん(75)に連日電話。10日の誕生日に送られたネックレスを着用して優勝。

 ◆由来 名前は菊池桃子が由来。父が「ゴルファーと結婚してほしい」と命名。ちなみに兄将司さん(22)は尾崎将司が由来。