今季のメジャー第2戦が開幕し、小祝さくら(20=ニトリ)が、大地震に見舞われた故郷北海道への不安を抱えながら好発進した。5バーディー、ボギーなしの67で回り5アンダー。札幌市に隣接する北広島市出身で、震災の連絡を受けながらも平常心を保ち続けた。前週、プレーオフ(PO)の末に敗れた申ジエ(30=韓国)らと並ぶ首位。雪辱を果たし、ツアー初優勝をつかむ。

不安な思いは胸の奥にしまい込んだ。深夜の地震発生直後のこと。小祝は新千歳空港と札幌市の中間に位置する北広島市の実家にいた祖母から、大地震が起きたとの連絡を受けた。同行する母ひとみさん(38)とともに被害状況が分からないまま会場へ。実家は停電し、飲食店経営の母は店の心配をしていた。それでも心を乱すことなく調整を進め、コースへ飛び出した。

「朝3時半に起きたので、その時に(地震発生を)知りました。おばあちゃんから母に電話がきた。その前の台風でもすごいことになっていたので、心配でした。でも意外と(プレーに)影響はなかったです」

集中力を研ぎ澄ませた。3番パー4で、5メートルのパットを沈めて最初のバーディーを奪った。4、7番も2メートルを入れてバーディー。2オンを狙った11番パー5では、15ヤード残ったアプローチをピン側10センチにピタリと付けた。前週のゴルフ5レディースでPOの末に敗れた申ジエらと並び首位発進した。

2日の日曜日、POを戦い終えると、母の運転する車で岐阜から富山へ移動した。次々と携帯電話に励ましのメッセージが届く。それを読むと涙がにじんだ。

「負けた悔しさが込み上げてきて。泣かないように見えるけど、こう見えて映画とか見て、すぐ泣くんですよ。泣けてきました」

好調を維持し雪辱の舞台はすぐにやって来た。「できたらまた(申ジエと)POをやりたいです」。大好きな故郷北海道へ、初優勝を届けたい。【益子浩一】