男子ゴルフの日本オープン(11日開幕、横浜CC)に2年ぶりに出場するアダム・スコット(38=オーストラリア)が9日、ジュニア選手を対象に「フューチャー・ゴルファーズ・セミナー」を開いた。

日本ゴルフ協会の山中博史専務理事とのトークセッション、ジュニア選手の質問に答えていく形で自らのゴルフ人生を紹介。プロゴルファーだった父らの影響で当たり前のようにゴルフを始めたが、幼少期はテニスやクリケットなど並行して他の競技にも熱中したという。「チームスポーツからも多くのことを学んで今の自分がある。若い時にさまざまなスポーツを経験するのも重要なこと。1つのことを極めるために集中することは大事だけど、視野を広く保つことも大切だと思う」と語りかけた。

めきめきと上達していったゴルフに「自然な流れで」絞ったのが13歳の時だった。2000年6月には「メジャー優勝」「世界NO・1」を夢みてプロ転向。しかし、直後の全米オープンでタイガー・ウッズ(米国)が2位に15打差をつけて優勝し「これは難しいかもしれないと思ったね」と笑う。

1つの転機は30歳。長尺パターに持ち替えた。「それまで普通のパターで何度か優勝もできたけど、安定してプレーすることができなかった。試行錯誤する中で、ゼロから全てを変えようと思った。パットに悩む人にアドバイスを送るとすれば、新しいチャレンジを恐れないこと。若くして長尺に替えた僕を奇妙な目で見る人もいたが、今ではいい決断だったと思っている」と振り返る。13年にマスターズを制し、14年には初めて世界ランク1位にも輝いた。「大きな目標を達成するためには時間がかかる。困難でも、自分を信じて前進していくことが大事だ」。プロ転向から要した10年以上の歳月をかみしめた。

ナイスガイとして有名なスーパースターの助言は、競技だけにとどまらなかった。「プロゴルファーは、みんなの模範となることが大事だ。僕が憧れたグレグ・ノーマンが、まさにそうだった。試合に勝てなくても、プロとして素晴らしい振る舞いをしていた。ゴルフから学んだことは人生にも通ずると思う」と、人としての成長を願っていた。