「旅人ゴルファー」川村昌弘(25=antenna)が4バーディー、ノーボギーの67で回り、通算12アンダーの201で李尚熹(26=韓国)と並ぶ首位に浮上した。今季も「旅するためにゴルフをする」姿勢を貫き、訪れた国は通算で40カ国を突破。11月の欧州ツアー最終予選会(スペイン)前に13年以来となる通算2勝目を狙う。

川村は前日のツアー自己ベスト「63」の勢いを失わなかった。「ビックリです。ビッグスコアの後に苦しむのは“あるある”なので」。ドライバーで左の林に突っ込んだ16番パー5では「グリーン近くまでいけば」と5番アイアンで何とか枝の下をくぐらせた第2打が、まさかの2オン。「ピンチからいきなりチャンス。今日一番動揺しました」と笑うも、2パットでしっかりバーディーを奪った。

昨季はシーズン最終盤までシード争いの当落線上にいながら、10月ごろから普通は刻むようなホールでもドライバーをしっかり振ることをテーマとしてきた。「日本だけでプレーするなら(第2打以降の)ポジショニングを考えてフェアウエーに置いて、でいいかもしれません。自分の飛距離で刻んで刻んでというゴルフに慣れてしまうと、海外ではどうしようもない時が来る」。昨季280・69ヤード(64位)だったドライビングディスタンスは、今季291・07ヤード(26位)。「自分でもビックリするくらい、気持ちひとつで飛距離が伸びた」と変化を実感する。

初挑戦となる欧州ツアー予選会が行われるスペインには早めに入り「ウロチョロしますよ」。3月にはゴルフ道具をバンコクに置いたまま旅行で訪れた。「スペイン料理が食べたくて。サグラダ・ファミリアも行きましたけど、5分もいなかった。歴史的な建造物とかにはあまり引かれなくて。景色や街並み、食べ物が好きなんですよ。英語が通じない時もあるけど、隣の人が食べてるのを指さして『あれ欲しい』って言えばいいんです」と力説。

予選会後もアジア・ツアーなどで香港、モーリシャス、南アフリカ、インドネシア、タイを巡る予定で「クリスマスくらいまで試合をするのは慣れています」。久々の優勝となれば、最高の気分で“旅”に出られそうだ。【亀山泰宏】

◆川村昌弘(かわむら・まさひろ)1993年(平5)6月25日、三重・四日市市生まれ。5歳でゴルフを始め、福井工大福井高で11年日本ジュニア優勝。同年にプロ入り。13年パナソニック・オープンで初優勝。20歳96日での優勝は73年のツアー制度施行後、石川遼、松山英樹に次ぐ当時3番目の年少記録だった。得意クラブはアイアン。172センチ、72キロ。