国内女子ゴルフの今季注目選手14人を紹介する連載の3つ目のテーマ、「初優勝を目指す新世代」の2人目は、松田鈴英(21=ニトリ)です。17年プロテストでトップ通過し、昨年終盤には優勝争いして上位フィニッシュを連発しました。賞金ランキング11位に入ってシード権も獲得。プロ同期で1学年下の黄金世代が次々と優勝していることに刺激を受け、ツアー初優勝を虎視眈々(たんたん)と狙っています。

 

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18年シーズン終盤の好調ぶりは、目を見張るものがあった。10月以降の8試合に限ればトップ10入りは4回。大王製紙エリエール・レディースはキャリア最高の2位フィニッシュを果たした松田は「精神的に落ち着いてプレーできるようになりました。ゴルフを楽しめるようになりました」と収穫を口にする一方で、流した悔し涙のことも忘れていない。

10月のNOBUTAグループ・マスターズGCレディース、11月の伊藤園レディースでは最終日に優勝争いしながら失速し、人目をはばからずに泣いた。「調子も良かったのに優勝は難しいのだなと。悔しかったですね」。もともと食が細いことが悩みの1つ。ツアー中でもパワー不足が最終日の失速にあったのかもしれない。昨年12月、契約先のブリヂストンスポーツのイベントで、17年限りで引退した元世界ランク1位の宮里藍さんに悩みを打ち明けた。

「シーズン中や試合中にあまり食べられないので、そのアドバイスをもらいました。『無理してでも少しずつ食べた方がいいよ』と。おなかが空く前に食べたほうがいいと聞きました」。その“金言”を19年に実践していくことを明かした。藍さんからも「ガツガツしていないけれど一本筋が通っている感じがいい」とエールを送られた。

自らがトップ通過した17年プロテスト合格組のほとんどが1学年下の黄金世代と呼ばれる実力者ぞろい。勝みなみ、新垣比菜らがツアー初優勝も飾り、大きな刺激を受けている。「本当に同期が頑張ってくれて、ものすごく強くなっていると思う。一緒にツアーを盛り上げられればいいと思います」と発奮材料にする松田は「来年はしっかり優勝することと、賞金ランクが11位だったので、ベスト10を目指したいです」。昨年のパーオン率4位の安定感に加え、ツアー8位というドライビングディスタンス(248.01ヤード)は細身の体では想像できない飛距離も併せ持つ。プロテストにトップ通過した17年がホップならば18年はステップ。そして19年の松田は大きくジャンプしそうだ。【藤中栄二】

 

◆松田鈴英(まつだ・れい)1998年(平10)1月24日、滋賀・彦根市生まれ。10歳からゴルフを始める。福井工大付福井高卒業後、滋賀の日野GCで腕を磨きながら2度目挑戦だった17年プロテストで合格。18年は出場36試合でトップ10入り10回。6456万6211円を稼ぎ、賞金ランク11位で初シードを獲得し、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の敢闘賞に輝いた。家族は両親と姉。身長165センチ。血液型はB。