19年の国内ツアーが開幕し、地元沖縄出身でホステスプロの諸見里しのぶ(32=ダイキン工業)が、首位と1打差2位で発進した。強風の中で4バーディー、2ボギーの70で回り2アンダー。プロ15年目で一時は不振にあえいだベテランが、09年以来10年ぶりのツアー10勝目へ、最高のスタートを切った。ツアー初勝利を目指す松田鈴英(21=ニトリ)が、3アンダーで単独首位に立った。

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沖縄に帰ると、自然と力がわいてくる。気まぐれな風、地元の人々からの声援。それらが諸見里の背中を押した。最初の1番でボギーとしながらも2番パー4で5メートル、続く3番パー3で1メートル半のパットを沈め、2連続バーディーで挽回。8番パー3では7メートルのバーディーパットを入れた。後半はチャンスにつけながら伸ばしきれず、この日だけ設定されたベストスコア賞の100万円は松田に譲り「悔しい~っ」とおどけた。

「私を育ててくれた大会。昨年のQT(予選会)も良くなかったですし、ケガをしたり体調も悪かったり。でも、まだゴルフをさせていただいている。ここでいい成績を出して、恩返しがしたいです」

プロ15年目。ここまでは紆余(うよ)曲折の連続だった。肋骨(ろっこつ)が石灰化する痛みに苦しみ、16年は年間獲得賞金0円。09年に6勝を挙げ、賞金ランク2位になった栄光の日々を取り戻そうと、もがくほど精神的に追い込まれ「引退を考えました」と明かしたこともあった。昨年3月の同じ大会で3位。自信を取り戻しつつあったが、賞金シード復帰には至らず、年末のQTも68位。今季は最大8試合の推薦出場で復活をかける。

故郷の懐かしい薫りと、母敬子さん(70)の手料理が心を癒やしてくれた。好物はナーベーラー(ヘチマのみそ煮込み)と、チムシンジ(豚のレバーのみそ汁)。「今回も母のご飯を食べました。みんなに、私がまだ元気だという姿を、見てもらいたい」。残り3日、目指すは10年ぶりのツアー優勝。大好きな沖縄で、復活への階段を1歩ずつ上る。【益子浩一】