地元沖縄出身の比嘉真美子(25=TOYO TIRES)が、初の開幕戦勝利に王手をかけた。

首位から出て3バーディー、2ボギーの71で回り通算9アンダーの207。最大瞬間風速18・7メートルの暴風雨で、アンダーパーで回ったのは比嘉を含め出場54人中2人だけ。2位に7打差をつける独走態勢で、日本人では13年森田理香子以来6年ぶりの大会制覇に大きく前進した。

激しい雨音が、大歓声にかき消された。最終18番パー5。比嘉は右手前バンカーからの第3打を、ウエッジ(56度)でピンそば30センチにピタリと付けた。3つ目のバーディーを奪い、長い1日を71でまとめた。最大瞬間風速18・7メートルの暴風雨。大たたきする選手が続出する中で、アンダーパーで回ったのは比嘉と9位山内の2人だけ。2位に7打差をつける1人旅で、初の開幕優勝に王手をかけた。

「この天候で赤字(アンダーパー)で上がれたのは100点に近い。過酷な18ホール。結果的にこんなに(2位と)差が開いたのは、私的にも想定外でした」

地の利を生かした。気まぐれな風、突然の嵐は沖縄特有のもの。12番パー4では残り112ヤードの第2打を、ピン右奥3メートルへ。「風にぶつけるような感じ。風を利用して打ちました」という会心の1打で、バーディーを挙げた。開幕前には「自然と友達になって、コースと向き合う」とまで言い、幼少時代から体感する環境を、敵にするのではなく、味方に付けた。

婚約する大相撲の勢は、10日に春場所初日を迎える。比嘉は沖縄、勢は大阪で、ともに故郷での戦いになる。婚姻届は先送りになっているが「地元は重圧やいろんな感情がある。その力を自分のものにしてこそ一流選手だと、互いに感じている」。このまま逃げ切れば、日本人では13年に賞金女王になった森田理香子以来の開幕戦勝利になる。昨年、比嘉は賞金ランク4位。初の女王への旅路。故郷から、最高の船出にする。【益子浩一】

◆最大逆転劇 過去の国内女子ツアーで、7打差以上を最終日に逆転されたのは7例ある。02年廣済堂レディースで首位から出た木村敏美が、藤野オリエに11打差を逆転されたのが最大。98年東洋水産レディースでは高又順(韓国)が、大場美智恵に8打差を逆転されたのが続く。