タイガー・ウッズ(43=米国)が完全復活した。2位から出て6バーディー、4ボギーの70で回り、通算13アンダー275。11年ぶりのメジャー制覇、05年以来5度目の大会Vを果たした。

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ウッズが見えない-。最終日の1番ホール、ウッズのスタート。ごった返すまさに人、人、人。本人にまったく近づくことができなかった。

裏側には18番のグリーンがあり、いつもならこっちの方に多くのパトロンが陣取っているはずだが、その時だけはガラガラ。それでもフィニッシュした選手はすべてを理解している。そう、ウッズがそこにいるから仕方ないと。ラウンドに付いて行かなくても大歓声が沸き起こるため、ウッズがどこにいるかはすぐに分かる。

冬季オリンピック(五輪)をはじめ数々の取材現場を経験してきたが、そこまでの選手は、そうはいなかった。

すれ違う誰もが「タイガーは…」と、なにやら話をしている。もちろん18番ホールは何重にも人垣ができ、姿を確認することはできなかった。会見場も人であふれかえり、記者でなく、そこで働く関係者らも持ち場を離れて生の姿を見にきたほど。純粋にみんなウッズが好きなんだ。会場すべてがウッズ一色に染まり、完全復活劇を後押しした。【松末守司】