【オーガスタ=松末守司】最高の大舞台でタイガー・ウッズ(43=米国)が完全復活を証明した。

1打差2位から出て6バーディー、4ボギーの70で回り、通算13アンダー275で11年ぶりのメジャー制覇を達成。14日付の世界ランキングで6位に浮上し、米国4番手につけた。20年東京五輪の出場資格圏内に入り、来年の出場が現実味を帯びた。また今秋初開催のZOZOチャンピオンシップ(10月24~27日・習志野CC)出場にも前向きとされ、13年ぶりに日本でツアー競技にも出場しそうだ。

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完全復活したスーパースターが東京オリンピック(五輪)に出場する環境が整ってきた。14日付の世界ランキングで、ウッズは6位に浮上し、強豪ぞろいの米国男子で1位のD・ジョンソンらに続き4番手につけた。1年後の五輪へ一つの国・地域から出場できるのは最大4人で、五輪出場圏内に入った。

男子の出場資格は20年6月23日のランキングで決まる。既に18年7月1日からのポイント算出がスタートし、ウッズが復活ののろしを上げた全英オープンの優勝争いも含まれている。ゴルフの五輪競技への採用が決まる際、ウッズはプレゼンテーションの映像に登場。昨年には「米国のトップ選手の一員となれるところまで復活できたら快挙」と語り、興味を示している。

関係者によると、今秋に日米ツアー共催で初開催されるZOZOチャンピオンシップへの出場に前向きな姿勢を示しているという。日本のツアー競技出場となれば06年ダンロップ・フェニックス以来13年ぶり。また、その来日に合わせて五輪会場の埼玉・霞ケ関CCでの練習ラウンドも希望しているとされ、五輪出場を想定した動きがある。

優勝インタビューで、ウッズは「まだ第一線で優勝できるとは想像していなかった」と素直な気持ちを表現した。08年の全米オープンでメジャー14勝目を挙げた後、絶頂からの転落を味わった。左膝の故障で08年に2度手術。その翌年に複数の女性との関係が発覚した不倫スキャンダルがあり、10年に離婚。次々とスポンサー契約が終了した。腰痛にも苦しみ、4度手術を受けた。抗不安薬の影響下で車を運転し逮捕。ふらつきながら警察に拘束される映像も公開された。1位が当たり前の世界ランクが17年11月には1199位まで落ち、誰もが復活を想像できなかった。

ウッズ自身が「引退を考えたこともあった」時期と重なる16年、ゴルフ競技が112年ぶりに五輪で復活した。当時は五輪を目指せる立場ではなかったが、今は違う。腰への負担を軽減するスイングを模索。コースを知り尽くす頭脳、パッティング技術で第一線に戻ってきた。「飛距離も必要だが、それ以上に攻め方の知識が重要。僕はよく知っている」と円熟味を増したウッズが、五輪出場に前向きになるのは当然だろう。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長からもツイッターで「次は東京五輪出場に集中して。東京で会えるのを楽しみにしている」とエールを送られたウッズ。マスターズの完全復活劇で、東京五輪出場への流れが加速しそうだ。