プロ6年目の大西葵(24=YKK AP)が好発進した。6バーディー、2ボギーの68で回り4アンダー。首位と1打差2位につけた。パターのイップスに苦しみ、昨年は13試合中9試合で予選落ち。各日を通じトップ5入りするのは17年5月以来2年ぶりで、復活への手応えをつかんだ。5アンダーの酒井美紀(27=国際スポーツ振興協会)が首位発進した。

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苦しんできただけ、喜びは大きかった。大西は出だしの10番でいきなりボギーをたたくも13、14番で2連続バーディー。16番パー3で心に火が付いた。10メートルのスライスライン。球はゆっくり吸い込まれるようにカップに落ちた。「こんなに長いパットが入るのは記憶にないくらい久しぶり。(手が)全く動かないから。(引退も)考えたりしたんですよ」。

パターのイップスになり、精神的に追い込まれた。昨年は13戦に出場し予選落ち9回。17年に約1272万円あった年間獲得賞金は、226万円まで激減した。「(パットが)入らなくても、動きさえすればいいんですよ、私は。全く動かないので、いろいろ考えたりしました」。試行錯誤しながら、シャフトを左腕に固定してストロークするアームロックにして、改善の兆しをつかんだという。

首位と1打差2位で発進した。各日を通してトップ5入りするのは、17年5月のほけんの窓口レディース第1日で5位発進して以来2年ぶり。プロ6年目のツアー初優勝を視界に捉えても、一時はどん底を見たからこそ「気合を入れた時はダメだから。普通にいきます」。強い日差しが注ぐ熊本で、輝きを取り戻しつつある。【益子浩一】

◆大西葵(おおにし・あおい)1994年(平6)7月13日、千葉県我孫子市生まれ。9歳から競技を始め、09年千葉ジュニア選手権優勝、千葉学芸高時代の11年に関東選手権優勝。14年7月にプロテスト合格。ツアー未勝利で、今季はQT4位の資格で出場。163センチ、56キロ。