11位から出た渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、1イーグル、2バーディーの68で回り、通算5アンダー、139で2位に浮上した。ルーキーとして本格参戦の今年は、8試合でトップ10以内が2回。初の国内メジャー大会でツアー初優勝を目指す。ペ・ソンウ(韓国)が通算6アンダーで首位。アマチュアの吉田優利と笠りつ子が渋野と並び5アンダーで2位につけている。

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98年生まれの新星がまた出現した。2バーディー、ノーボギーで迎えた最終18番パー5。渋野は、フェアウエー左228ヤードを3番ウッドでピン奥4メートルにつけた。スライスラインを読み切ってイーグル。最後の最後で、日本人トップの2位に浮上した。

「試合が始まる前、この難しいコースでこのスコアが出るとは思っていなかった。自分でもビックリ」と、豪快に笑い飛ばした。それでも、2週前のフジサンケイ・レディースでは最終日7位から追い上げて2位。ルーキー年の今年は8試合でトップ10以内2回と、その実力は本物だ。

きっかけは、第1日に81をたたいた4月のKKT杯バンテリン・レディース。「予選落ちすると思い、開き直ってピンばかりねらったら、そのクセがついて良くなった。フジサンケイも2位で、自分が思っているよりゴルフは成長している」と手応えをつかんだ。

「ゴルフより大好き」というソフトボールは、小学2年でゴルフとほぼ同時に始めた。それが心技ともに渋野を支えている。当時の監督のアドバイスでゴルフのために左打ちに転向し「体のバランスを整えるのに良かった」。また、ピッチャーをやったことが、アプローチに役立っているという。

ともに投てきの選手だったという筑波大卒の両親からは、165センチの恵まれた体格とたくましい二の腕をもらった。大会前には、母の伸子さん(51)が学生時代にアルバイトしていた「鈴や食堂」でほっけ定食を食べた。両親が青春時代を過ごしたつくばの地で、ツアー初優勝をねらう。「調子がいいときに優勝しなきゃ、なかなかチャンスで勝てなくなるかもしれない」と、本気モードだ。【桝田朗】

◆渋野日向子(しぶの・ひなこ)1998年(平10)11月15日、岡山県岡山市で3人姉妹の2番目として生まれる。幼稚園時の夢は仮面ライダーとアリエルになること。8歳でゴルフとソフトボールを始める。小6でソフトボール投げ58メートルで県2位。ゴルフでは、中1から岡山県ジュニア3連覇。18年2度目の挑戦でプロテスト合格。父・悟さんは砲丸投げ、円盤投げで国体2位。母・伸子さんはやり投げでインターハイ出場。165センチ、62キロ。