男子ゴルフの今季メジャー第2戦「全米プロ選手権」が16日、米ニューヨーク州ファミングデールのベスページ・ステートパーク・ブラックコース(7459 ヤード 、パー70)で開幕する。右膝の関節症のため、PGAオブアメリカからカート使用を認められたジョン・デーリー(53=米国)が開幕前日の15日、練習ラウンドに登場し、主役をさらった。

身長180センチ、100キロ近い巨体を揺らしながら、1番ホールに姿を見せるとタイガー・ウッズ(米国)級に集まった100人以上のギャラリーから大歓声が沸き起こる。ティーショットを打つ前から興奮に包まれたが、53歳とは思えぬ力強いドライバーショットを披露すると、再び大歓声。ただ、ハイライトはその先だ。

よろめきながらカートに歩み寄り、自らハンドルを握るとギャラリーにニヤリ。会場から、「ジョン、エンジョイ」の声が飛び、一気にカートを走らせ拍手で見送られた。先を歩く同組の選手と自身のキャディーに追いつき横につけてなにやら話していたが、すぐに加速。自身のキャディーさえも置き去りに、風を切って球の位置まで誰よりも早くたどりついた。

同コースは激しいアップダウンがあり、右膝に痛みを抱えるデーリーにとっては、過酷な条件で特例が認められた。現地メディアなどによると、メジャー大会でカートを使用するのは、98、12年の全米オープンでケイシー・マーティン(米国)が使用して以来2人目の超異例の措置。それだけに、応援するギャラリーの好意的な意見とは裏腹に、14日の公式会見でウッズは、08年の全米オープンで膝の痛みを抱えながらも最後までプレーして優勝したことを挙げ、「私は膝を壊してもプレーをした」と話すなど、否定的な意見があるのも事実だ。

米ツアー5勝(うちメジャー2勝)を挙げる実力もさることながら、派手なファッションや悪童と呼ばれ3度の離婚を経験するなど、私生活でも話題を呼ぶなど、ファンは多い。結果で外野の声を吹き飛ばすか? ウッズのメジャー2連勝と同じように注目度は高い。