ツアー通算48勝の中嶋常幸(64=静ヒルズCC)が、国内最古の大会に別れを告げた。126位から出て3バーディー、1ボギーの70で回り通算2オーバーの81位で予選落ち。「体が限界」と、今大会出場を最後にする意向を示した。今後はレギュラーツアー数試合とシニアツアーに出場する方針。青木功(76)尾崎将司(72)らと、しのぎを削った頃を「人間くさい時代だった」と懐かしんだ。同11アンダーのH・W・リュー(37=韓国)が首位。

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噴き出す汗を、拭うこともしなかった。64歳の中嶋は3つのバーディーを重ね、17年7月の福島オープン以来2年ぶりにアンダーパー70で回った。81位で予選落ちしたが、久しぶりに味わう充実感と、少しの未練が、胸の中を交差した。「体が限界。でも見に来てくれた人をわかすことはできたと思うんだ。潔い引き際になった。後悔はない」。

1926年に産声を上げた国内最古の大会に、来年以降は出場しない意志を固めていた。だからこそ衰えた姿は見せたくなかった。「今回が最後。なんとかアンダーで回りたかった。今日の2アンダーは、プライドの2アンダーです」。

男子ゴルフの人気は下降線。平日とはいえ、観客はこの日わずか2007人。青木功、尾崎将司らと一時代を築いた頃を懐かしみつつ「あの頃は人間臭さ、泥臭さがあった。試合に勝って、彼にも勝つ…」と寂しそう。今後は「シニアで見せたい。エージシュートも元気なら出せる」と目を輝かせた。【益子浩一】