元賞金女王イ・ボミ(30=韓国)が、5アンダーの67で3位タイスタートを切った。ドライバーが安定、アイアンも切れ、6バーディーを量産した。

15、16年の絶対女王が17年からスランプに陥り、トップ10発進は昨年4月のサイバーエージェントレディース以来、実に1年2カ月ぶり。復活へ、まずは階段をひとつ上った。イ・ミニョンが7アンダーで首位。新垣比菜が1打差2位につけた。

   ◇   ◇   ◇

「ハハハ…」と笑いながら、イ・ボミはインタビュールームに入ってきた。「ここに来ることもないと思っていました」と照れくさそうだ。賞金女王に輝いた15、16年の“指定席”も、今季は出場12戦目で初だ。

17年シーズン序盤から、精密機械のようなスイングが崩れた。頂点を極め、モチベーションの持って行き場も見失った。ツアーVは17年8月CATレディースの21勝目が最後。昨季は24戦で10位フィニッシュすら1度もなかった。

悩み抜いた末、今は「テークバックだけ」気をつける。ドローヒッターなのに、ドライバーで右にミスが出る恐怖感を消すため、フェースが開かないように-。「最近3週間はそれだけです」。この日はパー3を除く14ホール中、11ホールでフェアウエーをキープした。必然、アイアン(I)もさえた。8番は残り140ヤードを9番Iでピン1・5メートル、13番は165ヤードを7Iで1メートルへ。パットのフィーリングも良くなり、6バーディーを奪った。

もちろん、これで即復活じゃない。飛距離は落ちた。今季ドライビング・ディスタンスは235・08ヤード、部門別56位。この日も同組の飛ばし屋・松田に何度も約20ヤードは離された。その分、手にするアイアンの番手は大きくなり、チャンスは減る。ピンチも増える。「優勝とか、トップ10とかは正直(頭に)ないです。1日1日いいゴルフをしましょう。今はそれだけ」。以前と違うことは百も承知。ただ、新しいイ・ボミへ第1歩を踏み出したことは、間違いない。【加藤裕一】