テレビのラウンド解説として4日間、渋野選手に密着しましたが、驚かされることばかりでした。毎日、緊張しているはずのスタート前に、ギャラリーと写真を撮ったり、サインをしたり、ハイタッチを繰り返します。そこでギャラリーの気持ちも引きつけました。

プレー中もショットを打つ時以外は基本的に笑顔。最終日のラウンド中は近づきにくいものですが、渋野選手は声を掛けるとガッツポーズを返してくれました。3番でダブルボギーをたたいた時、さすがに悔しさは隠せませんでしたが、すぐに切り替えて、キャディーでもある青木コーチと明るく会話を始めていました。

ポジティブな姿勢の裏には、おおらかな性格があるのではないでしょうか。プレー中にもぐもぐお菓子を食べる姿が注目されました。今の選手は炭水化物や、栄養ゼリーなど、ラウンド中の軽食にも気を使います。渋野選手は「エネルギーはお菓子でいい」と細かいことにこだわりません。初の大舞台で、そんな「緩さ」はプラスに働きました。

一緒にラウンドし、5位だったブハイ選手は、渋野選手の5メートルのウイニングパットが決まると、自ら優勝が決まったように万歳しました。とても珍しいシーン。最後はライバルまで魅了し、味方にしてしまう。渋野選手のそんな人間性も今回の快挙につながったと思います。(プロゴルファー 村口史子)