全英女子オープン優勝の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、日本女子2人目となる日米2週連続優勝への望みをつないだ。11位から出て3バーディー、1ボギーの70で回り、通算4アンダーの140で9位に浮上。体調不良を抱えながら首位と5打差のV圏内だ。全英から6ラウンド連続で後半9ホールはボギーなし。87年岡本綾子以来の日米2週連続Vの快挙へ、11日の最終日は前半から全開モードで追い上げる。

とにかく後半に強い。前半はバーディーなしの1ボギー。渋野はハーフターンで心のスイッチを入れた。

「最近の調子で言うと、前半は伸ばせない。でも後半なら伸ばせる」

我慢を重ねているとチャンスが巡ってきた。15番パー4で第2打をピンそば2メートルへ。これを沈めると、大歓声が起きた。続く16番パー4でも、グリーンエッジから4メートルを入れて2連続バーディー。最終18番パー5は、残り97ヤードの第3打をピンそば2・5メートルへ。残り4ホールで3バーディーの荒稼ぎだ。渋野フィーバーは収まる気配すらなく、まるで最終日の優勝争いのような雰囲気だった。

「今週は注目されているけれど、重圧には感じていない。(強さの要因は)何とも思っていないこと。(残り)9ホールで体が動けばいいな~、みたいな」

全英を含めて24ラウンド(国内20)もオーバーパーがない。日本勢42年ぶりのメジャー優勝となった全英第1日から、後半は6ラウンド連続でボギーなし。奪ったバーディーは24。「イン」に圧倒的な自信があるが、首位ペ・ソンウを5打差で追う最終日は前半から追い上げる必要がある。

「(英国から)帰ってきたばかりで、予選通過ができればいいと思っていた。もし、これで優勝したら想像以上の結果になるので、ヤバイですよね。かなり」

大逆転で日米2週連続優勝をつかめば、日本女子では87年に岡本綾子が国内優勝後に米ツアーで優勝して以来になる。前日は38度超の発熱を抱えながら強行出場。薬をのんで10時間の睡眠を取り「元気になった」。万全ではないものの、シンデレラスマイルが戻りつつある。

「これで優勝したら、本当にヤバイ。トップ10に入れば上出来だと思って、まずはそこを狙います」

欲張らず、目の前の一打に集中する。その先に、最高の瞬間が待っている。【益子浩一】