全英女王の渋野日向子(20=RSK山陽放送)が、終盤の3連続バーディーで19位発進した。急性副鼻腔(びくう)炎で大会2日前に高熱をだしながら強行出場。一時は2オーバーまで後退したが、残り3ホールで一気にスコアを伸ばした。4バーディー、3ボギーの71で回り1アンダー。国内で連続オーバーパーなしは歴代単独2位の25ラウンド(R)に伸びた。初勝利を目指す丹萌乃(22)が5アンダーで首位発進した。

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雨のち晴れ-。小樽の天気のように、渋野の調子もそんなところか。イーブンパーで終えた前半終了後、トイレに行くと行列だった。時間が足りず、小走りで後半の1番パー4へ。息切れをしたまま第1打を放つ。左に曲げて木に当たり、林に入れて4オン1パットのボギー。3番パー4でもバンカーにはまりボギー。一時は2オーバーまで後退し、イライラが募った。

「1番のティーショットは何でそこにあるんじゃ? みたいな。トイレ待ちが長くて慌てて打ったけど、それは言い訳にならない」

笑顔は消え、クラブに八つ当たりする姿もあった。観衆から「ドンマイ!」「頑張れ~」の声が飛ぶ。心を落ち着かせるため、持参したアンパンマンのチョコレートをほおばる。すると「元気100倍」。7番パー3で1メートル、8番パー4で1メートル半のバーディーパットを沈める。最終9番パー5では、残り248ヤードの第2打を果敢に2オン。18メートルのイーグルパットを1メートル半に寄せて3連続バーディーとし笑顔が輝いた。

「体調は完璧ですけど、ショットはポンコツ。早く終わりたくて、バーディーを取れば早く終われると思った。本当は、するめそうめんを食べようとしたけど、開けたら一気に食べないとゴルフバッグが臭うなるから開けられんかった」

渋野節が戻り、連続オーバーパーなしの記録は25Rに伸びた。最終日まで続けば13年アン・ソンジュ(韓国)の最多28Rに並ぶ。「もう無理かもと思ったけれど、明日への望みになります」と記録を意識。高熱にうなされ、体調不良から回復したばかり。この状態で、スコアをまとめたのはさすがだった。【益子浩一】