12位から出た石川遼(27=CASIO)が、自身のコースレコードとなる64ををたたきだし、5位に入った。

7バーディー、ノーボギーで通算11アンダー、273。首位から9打差と絶望的な位置から猛追し、4打差まで詰め寄り、賞金ランキング1位を死守した。3位から出た朴相賢(韓国)が、通算15アンダーでツアー2勝目を飾った。岩田寛(フリー)が、通算13アンダーで日本勢トップの2位。

    ◇   ◇   ◇

石川がグッと悔しさを押し殺した。最終18番。優勝戦線に踏みとどまるにはバーディーが絶対だったが、2オンを逃し結局パー。首位から9打差と絶望的な中、ツアー屈指の難コースで今コースの自己新となる「64」で前を猛追。一時は2打差まで迫りファンは奇跡を夢見たものの、及ばなかった。「12アンダーで優勝はないと思ったが、それでもあの瞬間でトップタイに並ぶことが、自分にできる最高のことかなと思ったので」と自身も最後まで諦めず、戦い続けていた。

目の覚めるような快進撃だった。第1ラウンドから3日間ボギーだった1番で3メートルのバーディーパットを沈めると、一気にギアがトップに入った。3番パー5では第2打をバンカーに入れたが、しっかりリカバリーして再びバーディー。3つスコアを伸ばして迎えた後半も11、14番をバーディーとすると15番パー5も第3打をピンそばにピタリとつけて連続バーディーを奪った。「今までは修正点もあったが、今はほとんど何も変えないくらいの修正レベル」と納得した。

パットの良さが、好スコアにつながった。パットで最も気を配っているのが「平衡感覚」と話すが、独特の感性で「富士桜」攻略法を伝えた。「平衡感覚が狂うから読み間違える。僕は埼玉県民でいつもは平たんで過ごしているが、ここは富士山の麓。重力とか、平地と違う。真っすぐなラインを必ず入るストロークで打てているかチェックしている」。この日のパット数は「22」と4日間で最少。「2日目に入らなくなったところから3、4日目で入るようにできたことはすごく自信になる」と話した。

来週は昨年、北海道地震で中止になったANAオープン(北海道)に出場する。「(2勝目を挙げた)セガサミー以来、北海道に戻る。いいプレーをしたいが、まずは大会が無事に開催されてほしい」。絶好調の石川が、再び北の大地を盛り上げる。【松末守司】