石川遼(28=CASIO)が約2年ぶりの米ツアーで“ゴルフの力”を証明する。24日、男子ゴルフの米ツアー日本初開催大会となるZOZOチャンピオンシップが開幕する。

23日は会場の千葉・アコーディア習志野CCでプロアマ戦が行われた。石川は18番パー5で人生初のアルバトロスを決めた。大舞台に向け、日本のスターが調子を上げてきた。台風15、19号の影響で甚大な被害を受けた日本に結果で勇気を届ける。

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持ってる男がいきなりみせた。大会前日のプロアマ戦の18番パー5。石川はフェアウエーから残り261ヤードの第2打を3番ウッドで振り抜いた。球はぐんぐん伸び、ピン手前3メートルに落下。そのまま、ころころとピンに向かって転がりカップイン。人生初のアルバトロスを達成した。

06年ダンロップ・フェニックス以来、実に13年ぶりの日本での試合となる主役候補、ウッズのお株を奪うスーパーショット。世界のトップ選手が集まる祭典でも、存在感を際立たせた。「入ったのは見えなかった。生まれて初めて。まさかこんな日にできるとはうれしい。でもアルバトロスは気にしていない。セカンドショットが思った通りに打てたことが良かった」と浮足立つことなく、今をしっかりと受け止める。

今季、国内で2勝を挙げるなど、米ツアー復帰へ、勢いは加速しているが、頭は冷静だ。特別な大会を前に何も特別なことはしない。22日の練習日は、雨の影響でラウンドを回避。プロアマ戦で初めて本番コースを回ったが、同組のアマチュアと会話を楽しみ、ハイタッチしたりと笑顔があふれる。芝の感触やグリーン回りなどコースチェックは怠らない。ただ、心待ちにしていた大舞台で終始、リラックスムードを漂わせた。「心境は変わらない。同じルーティーンの中でできている」と気負いはまったくない。

列島を襲った台風15、19号の影響で開催地の千葉県内を始め、多くの地域が甚大な被害を受けた。今も苦しむ人々にできることは何か? 自身に問うた答えは1つ。真っ向から世界に対峙(たいじ)する姿を示し、少しでも心の支えになること。

大会会場もスタッフ総出で倒木や散った葉を回収し、開催にこぎつけた。「ゴルフの力というもので元気になってもらえる人がいればいいなと思う。スポーツの力というのは、そういうことだと思う。全力でやるだけ」。石川が、最高峰の舞台に生き様を刻み込む。【松末守司】