5アンダーの3位から出た14年の覇者、松山英樹(27=LEXUS)が、出だしの1番で「9」打をたたくなど75で回り、通算1アンダーの141で13位にとどまった。1ホールで9打を要したのは、アマチュア時代も含め、国内ツアーでは自己ワースト。その後は4バーディー、2ボギーで、首位に立った池田勇太、今平周吾とは4打差。14年以来の大会制覇へ、諦めず前を追う。

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まさかの光景だった。雨が降りしきるスタートの1番パー4。松山の名前がコールされるとギャラリーから声援が飛んだが、沸いたのはここまで。ティーショットを右に曲げて林に打ち込むと、悪夢のような約10分間が始まった。振り抜いた第2打は、無情にも前の松の木に当たり、ペナルティーエリアを示す赤杭を越えて右の側溝に入った。1罰打を加えて放った第4打も、前の木にあたり、再び側溝に落ちる不運の連続。悪戦苦闘する日本のエースを、周囲のギャラリーは静寂を持って見守るしかできない。

再び1罰打を受けた第6打でようやく林を抜け、右のラフに落下した。第7打でグリーンを捉えると、2パットで球はカップに沈んだ。過去、アマチュア時代を含め国内ツアーでは、トリプルボギーがワースト。自己ワーストを更新し、5つあった貯金を1ホールですべて使い果たした。「ティーショット以外は最善を尽くしたつもり。その後も取り返そうと思ったが、なかなか思い通りにはいかなかった」と淡々と振り返った。

いきなり厳しい状況に置かれたが、このまま終わらないのが底力。1つスコアを落として迎えた16番でバーディーを奪うと、最終18番は、約10メートル以上のイーグルパットこそ外したとはいえ、楽々バーディーとして首位と4打差の逆転圏内に踏みとどまった。「上が伸ばさなかったのですごくラッキー。良いプレーをしてトップがどこまで伸びるか分からないけど、その近くまで持っていけたら」。14年の覇者は、最後まで白旗は挙げず戦い抜く。【松末守司】