日本女子ゴルフ史上7人目のアマチュア優勝者、古江彩佳(19=フリー)が、日本選手のプロ転向後最速ツアー優勝へ、3打差5位に浮上した。17番で池ポチャしたが、2日連続の68で通算8アンダーとした。残り2日。アマチュア優勝の“先輩”である宮里藍らが持つ、プロ転向4戦目より速い同3戦目の頂点は射程圏内だ。同11アンダーのペ・ソンウが首位に立った。

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小さな体に秘めた自信が、少し揺らいだ。終盤17番パー5。古江のドライバーショットは、フェアウエー右の池に消えた。「あ~、やってもうた~」。神戸出身の19歳はショックを関西弁で表現した。

身長153センチの小兵プロは、ショットの精度が生命線だ。前日21日はパー3を除く14ホールで100%、フェアウエーをキープした。「ドローヒッターなんで(右に大きなミスはないと)信じてます。でも、今日は右に押し出すショットが多くて…」。嫌な予感が当たった。ボギーをたたいた。それでも、2日連続の68でV戦線にいる。

10月富士通レディースをアマチュアで制した古江にとって、アマチュア優勝の“先輩”宮里藍は憧れだ。6月、宮里の冠大会サントリーレディースに出場した時は、宮里とのトークセッションで心構えを質問した。プロ転向会見では、クラブの契約メーカーが同じという縁で、ビデオレターが届いた。「自分自身のプレーをしたらいいよ」というアドバイスを聞き「それを貫きたい」と胸に刻んだ。

プロ転向初戦の三菱電機レディースは予選落ち、2戦目の伊藤園レディースは42位。今大会が3戦目。「プロという意識を持たず、今までやってきたことをやろう」と決め、早くもプロ初優勝のチャンスが巡ってきた。「早ければ早い方がいいですけど、焦りたくはないです」。今大会で勝てば、宮里の4戦目を更新する日本選手最速記録。「それができたら、すごいですけど…。ビックリですよね」。まるで人ごとのように笑う姿に、気負いはない。残り2日。平常心の先に、快挙が待つ。【加藤裕一】

◆女子プロのスピードV 国内ツアーの場合、プロ転向は(1)プロテスト合格によるLPGA会員登録(2)QTを勝ち抜いたTP単年登録(3)アマチュア優勝によるLPGA会員登録があり、古江は(3)。日本選手のプロ転向後スピード優勝は(3)の宮里藍、(2)の佐伯三貴の4戦目が最速記録。なお韓国でプロ転向したアン・ソンジュは、(2)のパターンで日本のプロ初戦で優勝、これが全体の最速記録になる。