史上初の4週連続優勝を狙った賞金ランク1位鈴木愛(25=セールスフォース)は、2位でも強さを見せつけた。優勝した渋野との直接対決は17番の池ポチャで唯一のボギーを喫して勝機を逃したが、最終18番のバーディーで通算18アンダーの270とし、単独2位とした。賞金2位申ジエ、同3位渋野とは約1500万円差。最終戦LPGAツアー選手権リコーカップ(28日開幕、宮崎)で2年ぶりの賞金女王を目指す。

急に強まった風雨の中、鈴木が拳を握りしめた。最終18番グリーンで5メートルのバーディーパットを決めた。右手でガッツポーズ、胸を張ってホールアウト。渋野と握手を交わした。「入れれば、彼女(渋野)が優勝しても、そんなに賞金差が出ないと思ったので」。日本選手第一人者の意地だった。

悪夢は17番で訪れた。ドライバーが右に出た。フェアウエーでバウンドし、横の池にボールが消えた。「ちょっと右に行きました。入ったの? 見えました」。少ない言葉に無念さがにじむ。ミスはそれぐらい。9番パー5。バンカー越え、ラフから約50ヤードのアプローチを1メートルにつけ、バーディー。抜群の距離感、タッチを見た渋野が「すごい。私にはできません」とこぼした。

渋野との同組対決も「別に何も思わない。自分のプレーに徹していた。見てもいないし、特に思うことはないです」と言い切った。史上初のツアー4連勝に、1歩及ばなかった。「それを狙って2位で終われたのは、自分でもすごいと思う。普通の人だったら、予選通るので精いっぱいと思いますし…」。プライドをにじませた実力者の頭には、最終戦のリベンジしかない。【加藤裕一】