女子ゴルフの渋野日向子(21=RSK山陽放送)が逆転賞金女王へ「世界一の飛ばし屋」から技術を学んだ。大王製紙エリエール・レディース優勝から一夜明けた25日、米男子ツアー平均飛距離1位のキャメロン・チャンプ(米国)と宮崎市内でテレビ収録を兼ねてラウンド。賞金女王へは「無心」を強調しながらも、大一番の最終戦、ツアー選手権リコー杯(28日開幕、宮崎CC)へ、大きな力を得た。

激戦の疲れが吹っ飛ぶような刺激だった。渋野は賞金女王に夢をつなぐ優勝から一夜明けた25日、宮崎市内で行われたテレビマッチ「京セラ・フェニックスチャレンジ」(12月22日、午後4時~、TBS系列)に参加。米男子ツアー平均飛距離1位のチャンプと組んで石川遼らと対戦した。普段、接する機会の少ない男子とのラウンドに「すごい楽しい。眠気も覚める1日…、1日というか、半日でした」とスマイル全開だった。

番組出演のため、前日24日午後7時に愛媛から大分までフェリーで移動。車で宮崎に着いたのは午前1時。8時間の大移動で、優勝のお祝いは、フェリー乗り場で海を見ながらチームのみんなでカップ麺をすすった。「優勝した夜は、ワーワーする感じかなと思ったんですが、時間もなくてカップ麺を食べた。そのカップ麺がすごいおいしくて。アハハハ。頑張ったなと思いながら食べました」とまた笑った。

強行軍も苦ではない。番組出演を決めたのは、チャンプの存在があったからこそ。米ツアー参戦2戦目に優勝した24歳に強い興味を抱いていた。番組出演のオファーを聞くと「出たい、出たいと、0・5秒で即決しました。前から興味があった」。この日は念願の対面だった。

ラウンド中は通訳を介し、会話もしたが、何とチャンプから「メジャーを勝つコツを教えて」と逆質問。これには「初めてだったので何も知らなくてと話して、コツはないですと…、アハハハ」と苦笑い。驚異的な飛距離に対しては「やばかったですねぇ。違うぞ。ボールがすごいぞ」と驚嘆。チャンプとの濃密な時間に五感を刺激され、大きな力とヒントを得た様子だった。

28日開幕の最終戦ツアー選手権リコー杯で賞金女王の可能性を残す。鈴木、申ジエより上位に入る単独2位以上が前提と厳しい状況だけに「なるべく考えないように。自分のプレーができれば結果はついてくると思う」。無心を強調したが「世界一の飛ばし屋」との出会いが糧になったことは間違いない。【松末守司】

◆賞金女王の行方 渋野は賞金ランク3位で獲得賞金約1億3791万円。最終戦LPGAツアー選手権は優勝賞金3000万円、2位1740万円。渋野の逆転戴冠は自力では無理。鈴木、申ジエより上位に入る単独2位以上が前提で、その上で「単独2位」なら「鈴木9位タイ(3人)以下、申ジエ3位以下」、「優勝」なら「鈴木2位タイ(2人)以下」などが必要になる。鈴木は、渋野が優勝しても単独2位なら女王となる。