12位から出た鈴木愛(25=セールスフォース)が通算5アンダーの283で5位に入り、17年以来2年ぶりの賞金女王に輝いた。3日間はパターに苦しんだが、最終日に6つのバーディーと大躍進。賞金716万4000円を加え、1億6018万9665円で女王の座に返り咲いた。ペ・ソンウ(25=韓国)が、6バーディー、1ボギーの67で回り、通算11アンダーで今季2勝目、国内メジャー初勝利を挙げた。

これが女王の底力だ。イーブンで迎えた前半最終の9番。1・5メートルのバーディーパットをねじ込むと、そこから3連続バーディー。さらに2つのバーディーを積み上げ、一時は2位タイまで浮上。苦しむ渋野を尻目に、2度目の賞金女王を決定付けた。

「もちろんうれしいですけど、やっぱりホッとしています。今日は自分が7アンダーで回ると思って、人のプレーは気にならなかった。今週に入って一番いいラウンドでした」。数字的には圧倒的に有利とは言え、苦しんだ3日間を経て最終日に爆発。何としても欲しかった賞金女王を手に入れて、鈴木は安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

「7勝もして、賞金女王を取れないなんて、ありえない。これで負けたら恥ずかしい」。プライドが鈴木を突き動かした。第3日に終了後、日が暮れても練習場に最後まで残ってパター練習を続けた。1人、2人と引き揚げる選手を尻目に「自分がここまでになったのは、練習のおかげ。練習量では誰にも負けない」と言い聞かせ、パターの感覚を取り戻した。

第1日には、風の読みを任せたキャディーのミスを責めた。ラウンド中は意見がぶつかり、パターが入らないことを責めたりした。いら立ちをぶつけながら、心の中ではこの「キャディーさんのために、賞金女王を取る」と言い聞かせた。賞金女王が決まった瞬間、帯同キャディーと抱き合って喜びを分かち合った。

前回の賞金女王は2勝で取った。今回は乗ったタクシーの交通事故で腰を痛めたり、左手親指痛、手首痛に体調不良も経験。初めて1カ月ゴルフから離れた時期もあった。そんな中で3週連続を含む7勝。「経験が財産になった」。来年は海外メジャー全戦と、東京オリンピック出場が目標。日本の賞金女王が世界と戦う。【桝田朗】

◆鈴木愛(すずき・あい)1994年(平6)5月9日、徳島県三好郡生まれ。鳥取・倉吉北高1、2年時の10、11年にJGAナショナルチーム育成選手。13年プロテスト合格。14年の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯でプロ初優勝。17年も賞金女王。155センチ、58キロ