岡山出身の女子プロゴルファー渋野日向子(21=RSK山陽放送)が6日、AIG全英女子オープン優勝者として故郷に凱旋(がいせん)した。管轄内に自宅がある岡山東警察署で一日署長を務め、岡山市役所で岡山市人見絹枝スポーツ顕彰の岡山市民スポーツ栄誉賞を受け、岡山市内のホテルでJAグループから岡山米など岡山県産食材をもらい、岡山県庁で岡山県スポーツ特別顕賞を受けた。

1日4カ所の強行軍。「やっぱり岡山が1番キヨキヨ(清々)です」と“しぶこ語”で岡山愛を表現、計約1100人集った岡山市民に笑顔を振りまいた。

一日署長として宝塚歌劇ばりの礼服を着て、パトカーにも乗った。「捕まった気分ですが、ちょっと新鮮」と冗談を飛ばし、岡山米を贈られて「これからもモリモリ食べて頑張ります」と笑いを誘った。

昨夏、岡山などを襲った西日本豪雨のこともあらためて思い出した。「数日後に昨年のプロテストがあって、何が起きたのかわからなかった。家から出たら、外が“海”になっていて(テストに)出るべきか迷った」と回想。「でも、周りの人に“勇気づけて”と言っていただき、私がやるべきことを考えて。災害は本当にいろんなものがなくなります。ないのが1番です。でも、言い方は悪いかもしれませんが、いろいろと気づかせてくれて、それが原動力になった部分もあります」と話した。

8月の全英後、岡山では初の公の場。市民とふれあい、エネルギーをもらった。「心をきれいにする場所。初心に返れる場所」で原点に戻った。一日署長の際「来年、逮捕したいものは?」と問われて「東京オリンピックの金メダル」と力強く語った。

岡山県庁の前では、寒さの中で待ち受けた約600人にマイクを握ってあいさつした。「岡山のみなさんの応援のおかげで全英女子オープンに勝つことができました。これからもみなさんに勇気と感動を与えられるよう、頑張ります」。今後、数日は地元で充電。英気を養う。

〈渋野が受けた賞〉

▽岡山市人見絹枝スポーツ顕彰・岡山市民スポーツ栄誉賞 元大洋投手の平松政次氏、元巨人川相昌弘内野手、ボクシングWBO世界女子アトム級初代王者池山直に続き4人目。

▽岡山県スポーツ特別顕賞 五輪、世界選手権メダリストらが対象で、のべ44人目。