【シンガポール14日=高田文太】男子ゴルフの石川遼(28=CASIO)が、金メダリストの心技体を間近で吸収し、東京オリンピック(五輪)出場を目指す。

20年日本男子ツアー開幕戦となるSMBCシンガポール・オープン(16日開幕、アジアツアー共催)に向けて、会場の同国セントーサGCで練習。この日、予選ラウンド2日間が、元世界ランキング1位で16年リオ五輪金メダルのジャスティン・ローズ(英国)と同組と決まり、五輪への思いを高めた。

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練習後、予選ラウンドの組分けを知った石川は、声を弾ませた。同組には、112年ぶりに五輪競技に復活したリオ五輪で金メダルに輝いたローズがいた。

石川 すごく勉強になると思うし、自分の目指す位置にいる選手。すごく良い組に入った。五輪出場のハードルは高いけど、高いハードルにトライしないと意味ない。やりがいがある。

現在、石川は世界ランキング83位で、日本男子では21位の松山英樹、33位の今平周吾に次ぐ3番手だ。世界ランキング15位以内に3人入れば、3人とも出場権を得られるが、16位以下なら各国2人まで。現状では圏外だ。

今大会は成績も求められる中、2日間を五輪王者と回ることで「今の自分だから感じるものがあると思う」と大きなチャンスととらえる。大舞台を制したローズの精神力、技術、体の使い方やコンディショニング。心技体、すべてが生きた教材だ。五輪代表が決まる6月下旬の世界ランキングまで、約5カ月のラストスパートにつなげる。

「リオと東京では、日本の人の関心が全然違う。いつの間にか代表が決まっていたという状態ではなく、代表が決まるまでも盛り上げたい」と力説する。自身が五輪を意識、代表入りを目指すと発言することで、ゴルフ界全体の盛り上げにもつながると考えている。

日本ツアーの次戦は3カ月後だけに、そこまで待ってはいない。今大会後は、世界選手権シリーズのメキシコ選手権(2月)に参戦。そこで好成績を残し、同シリーズのデルテクノロジーズ・マッチプレー(3月)の出場権もつかむ考えだ。険しい道のりだが元日以外、年末年始も休まず練習。「本当に納得いくまで」。ギリギリまで戦い抜くことを誓った。