畑岡奈紗(21=フリー)の米ツアー4勝目は、日没順延でお預けとなった。3位から出て4バーディー、1ボギーの68で回り、首位から出た朴仁妃(韓国)、66と伸ばしたガビー・ロペス(メキシコ)と並び、プレーオフに突入。

3ホール目で朴が脱落。畑岡とロペスの対決は5ホールを終えて決着がつかず、翌日に持ち越された。オリンピック(五輪)イヤーの開幕戦で、いきなり優勝争いを演じ、世界にその実力を見せつけた。大会は過去2年に優勝経験のある26人で争われた。

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選ばれし26人でも、たった1人しかバーディーが取れなかった18番パー3で、死闘が繰り広げられた。プレーオフ2ホール目。畑岡はティーショットがグリーンに乗らず、第2打も寄らず3メートルのパーパット。絶体絶命のピンチを決めきると、右手で小さくガッツポーズ。すると、3ホール目には、ツアー19勝の実力者朴仁妃が池ポチャで脱落。畑岡、ロペスともに譲らず、5ホールを終えたところで日没順延が決まった。

「2ホール目はかなりピンチだったが、あのパーパットを決められたのは大きな一歩。(全体的には)やっぱりパットが決まらなかったのがいくつかあったので、本当に一打の重みは感じる」と振り返った。一打の重みは、勝利に貪欲になっているからこそだ。東京五輪まで半年あまり。この2年の優勝者だけが出場できる大会は、さながら五輪の前哨戦。その中で、4日間を60台で回り、16年リオ五輪金メダルの朴仁妃にも競り勝った。

オフにはスイングが安定するようにと上半身の強化に取り組んだ。その成果がショットの正確性に表れた。フェアウエーは1度、グリーンは4度しか外さず、安定したゴルフで一時はトップにも立った。プレーオフ6ホール目以降を残し、2位以上は確定。現在6位の世界ランクのアップも見込める。

「今季3勝」という目標の中には、五輪前までの優勝を当然見据えている。さらに「世界ランク1位になって五輪に臨みたい」という希望も現実味を帯びてきた。東京五輪での日本のエースがその実力を世界に見せつけた。

◆ゴルフの東京五輪女子出場資格 60人が出場でき、6月29日時点で国際ゴルフ連盟が定めた五輪ランキング(世界ランキングをもとに算出)上位15人が自動的に出場権を得る。15人の中では各国最大4人が出場できる。15位以内に1人しか入っていない国は、16位以下の上位1人が出場できる。15位以内に入っていない国は、16位以下の最大2人までが出場可能。その他、5大陸ごとに各1人の出場枠がある。日本勢は13日発表の世界ランクで15位以内に畑岡、渋野、鈴木の3選手がいるため、現時点では3人が出場可能。